2020年産出資馬の3歳未勝利戦終了時点までの「各馬」振り返り

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目次

20年産出資各馬の出資当時と成績の振り返り

前回の記事では出資馬の戦績全体を振り返りました。
今回の記事では、出資各馬の戦績を出資当時の考えを振り返りつつ記事にしていきたいと思います。

出資馬一覧
出資馬20年産世代抽出

前回の記事はこちら

シルクHCの20年産出資馬

シルクHCの20年産出資馬についてまとめていきます。
この当時はまだ出資方針の設定と記事化をしていませんでした。
ただ、基本線として、シルクではクラシック路線や重賞を狙っていくことは入会当時から変わっていませんので、それをめざしての出資となっています。

アッシュフォード ハーレクイーンの20

アッシュフォードが教えてくれたこと
  • 身体の成長ともに精神も成長する
  • 厩舎内の相対評価で上位獲得するのは先読み困難

アッシュフォードは残念ながら未勝利で引退、サラオクでオークションンにかけられ、約200万円で取引されています。
シルクHCの2021年度の出資申込に際して、私はアッシュフォードに抽選時優先権を使用し、2口申込を行いました。
従って、シルクでの通算出資回収率をプラスにしていくのはしばらく時間がかかることになりそうです。これも一口馬主の難しさですね。

出資時のアッシュフォードの評価ポイントは、ハーツクライ産駒のニックス(Blushing GroomとNever Bend)を持っていることです。
近年流行の早期から走れるタイプのニックスを持ち合わせていないことから、クラシック時期は厳しいものの、5歳で重賞を走っているような馬を期待しての出資でした。

実際晩成傾向であり、デビューは10月、2走目は年明け4月というスケジュールとなりました。
出資馬のレポートで「体力が備わってくれば気性も大人になるでしょう」という類の記載を、アッシュフォードに限らず成長中の馬で見かけますが、その要素は当てはまっていたのだと思います。
心身の成長がもう少し早ければ、違った未来はあったのかもしれません。
馬具の工夫には終始苦戦していましたし、もう一歩の粘りや切り替えなどは気性面の難しさを表していました。

アッシュフォードは3月に栗東の藤原英昭厩舎から、同じく栗東の西園翔太厩舎に転厩しています。
スムーズな入退厩が難しいことが理由でした。転厩以降、西園先生は6走工夫しながら使ってくれています。

限られた馬房数の中で、どの馬を使っていくか。
これは厩舎内の相対評価的な要素が大きく、藤原厩舎では低かった相対評価が、西園厩舎では上昇し、起用につながったのだと思います。
この転厩はとてもありがたかったですし、結果として勝ちにはつながりませんでしたが、西園翔太先生が様々な工夫をしてくださったことは忘れません。

またご縁があれば、西園先生の厩舎の馬に出資申込をしたいと思います。
その時アッシュフォードでできなかった1勝を達成できたらうれしいですね。

出資時の分析記事はこちら

フェールデレーヴ デイトユアドリームの20

フェールデレーヴが教えてくれたこと
  • 馬体重は重さだけでなく、フレームに対して十分かどうか
  • 芝の父×ダートの母はなかなか難しい

フェールデレーヴも6戦未勝利でサラオクに回っています。
サラオクでは募集価格の10%以上の価格で取引がされました。

フェールデレーヴは両親が良血であること、母の繁殖成績が優秀であることを理由に出資しました。
募集価格も安価であり、勝ち上がり、次のクラスで十分走れればコスパも良さそう、というのがポイントでした。

フェールデレーヴの初入厩時の馬体重は455kg
デビュー戦の馬体重は436kgで、この体重が通算6レースで最も馬体重のあったレースとなりました。
以降のレースでは馬体を減らさないことが1つのテーマとなり、最後まで苦戦した印象です。

2,3歳の牝馬において、436kgはやや小柄に分類されます。
20年産牝馬の総出走回数は11,782回に対し、420kg~439kgの馬の出走回数は2,728回。
全体の23.15%で割合としては全体2位のレンジで、小柄ながらも珍しくはないサイズです。

そのサイズ感において、フェールデレーヴが馬体重を最後まで気にされていたのは、馬の持つフレームに対して、馬体重が不足していたからだと考えられます。
調教後でもよく食べ、身に着けていくことができる、は馬が強くなるうえで大切なことだと改めて学びました。

厩舎もその辺りは調教の厳しさで調整してくれていましたが、難しかったですね。

さて、前述の通りフェールデレーヴは両親が良血であり、母の繁殖成績が優秀だから出資をしました。
それは事実としてそうであるものの、私は基本的な見落としをしてしまっています。
父トーセンラーは京都競馬場の名手で、種牡馬としてもほぼ芝専門です。芝の出走割合は75%超、勝ち星の約90%は芝です。
母デイトユアドリームはダートスプリントで4勝、産駒もほぼダート専門です。
能力の方向性は両親でバラバラで、これが高い水準で両立すると、芝・ダート兼用の名馬になれるものの、確率的には難しいところです。

フェールデレーヴは芝でもダートでも可能性を見せてくれたものの、勝つところまでは至れませんでした。
能力の方向性については、まずシンプルに考えることから始めたほうが良さそう、と教えてもらいました。
2歳時に坂路51秒台を馬ナリで走るなど、ポテンシャルは間違いのないものを持っていたと思います。地方で活躍してくれると信じています。

ノルマンディーOC

ノルマンディーOCの20年産出資馬についてもまとめていきます。
こちらも当時は出資方針などは定めていません。出資2世代目となり、素直に面白味を感じた馬に出資しています。

悔やむべきは、募集時に自分なりに高く評価していたアンビバレント(フォーミーの20)に出資申込をしなかったことです。
惜しいことをしたなあ、と今でも思っています。

ジャーヴィス ジェルヴェーズの20

ジャーヴィスは地方交流競走で未勝利を突破してくれました。

馬名のジャーヴィスは英駆逐艦の艦名が由来とされています。
同艦は第二次世界大戦中、主要な戦いの多くに参加したにもかかわらず、一人も戦死者を出さなかった幸運と活躍から「ラッキー・ジャーヴィス」と呼ばれたそうです。
馬名の通り、地方交流競走に運良く選出され、その運を掴んでくれています。

ジャーヴィスはNureyev ≒ Sadler’s Wells の 5×4 で頑強さを取り入れており、そのうえで両親の持つ素軽いスピード要素が発揮されれば芝・ダートどちらでも好走できると期待して出資しました。
デビューは芝となりましたが、ダート初挑戦で一変を見せてくれました。

ここまでビーチパトロール産駒は中央ダート1勝クラスは未勝利で、勝鞍はほとんどが芝のレースです。
NureyevやSadler’s Wells、Robertoなどの力強さを取り入れたタイプが活躍しています。平坦小回りの方が良さそうで、ベースとして軽さと瞬間的な速さがウリのタイプと考えられます。
ジャーヴィスは園田のダートでかなり強い勝ち方をしましたが、中央のダートでどれくらいやれるかはまだ未知数です。
1勝クラスには1度出走しましたが、難しいところを見せて8着という結果に。

デビュー戦となったレースで放馬してしまったり、気性的な部分でずっと課題を指摘されていたりと、難しいところがある馬ですが、千田先生と酒井学ジョッキーが丁寧に調整してくださっており、しっかりしてきてくれることを期待しています。

配合的には今のところ当たり配合と言える形であり、代表産駒と言われるような成果を残してくれるのを祈ります。

グランデスパーダ セイントリースカウトの20

グランデスパーダが教えてくれたこと
  • 分析過程で愛着を持ちすぎないようにする
  • やはり馬の起用は厩舎内の相対評価が大きい

グランデスパーダは未勝利でサラオクへ。
その後、新しいオーナーさんのもとで、すでに金沢で12戦レースに出ています。
中央では5戦してすべて二桁着順。地方交流競走でも10着に沈んでいますが、金沢では複勝圏内も経験しています。

グランデスパーダに出資したのは、ファミリーラインに面白みがあり、かつ唯一の中央デビュー予定のダンスディレクター産駒だったからです。
まさにエモさを理由に出資した馬で、1勝できたら競馬史にひっそりと名前を刻めると思いました。
ただ、実力的には厳しいものがありました。
本間先生は長く厩舎に置いて鍛え続けてくれましたが、二桁着順が続き、スリーアウトとなって早期に組合解散となっています。

グランデスパーダに出資したことは全く後悔していないですし、よく頑張ってくれたな、と思っています。
ただ、私自身の思考の癖に気づかせてくれた馬でもあります。
分析過程で愛着を持ちすぎないようにする、出資理由を作るために分析をしないようにする、これは気を付けたいなと思います。
私が富豪であればそれも良いのですが、シルクの実績獲得でも苦戦しているレベルなので、自重も必要です。

グランデスパーダは2月末までに6戦しています。
その間、アッシュフォードは1戦のみです。
募集総額はグランデスパーダが800万円、アッシュフォードは5,000万円。
出走間隔や厩舎への滞在は厩舎内の相対評価による部分が大きいことが、この事例からもわかります。
厩舎で鍛えてくださり、たくさん使ってくださった本間先生には感謝の気持ちが大きいです。

地方でも苦戦が続いていますが、1つでも勝ってくれることを祈ります。

ウィズアットダンス ウィズアットレースの20

ウィズアットダンスは未勝利ながらも、組合継続で南関東競馬での出直しが決まりました。
募集価格は920万円で、それに対して5着以内が3度で獲得総額は700万円超となっています。
これに加え、骨折の見舞金と中央抹消給付金などが発生しています。
もちろん、獲得総額が満額もらえるわけでもないですし、維持費もあるので、収支プラスにはなっていません。
移籍先が南関東であり、クラブ発表からも中央復帰を前提とした地方転籍とは記載がなかったので、場合によっては南関東競馬でしばらくがんばる方針かもしれませんね。
それはそれで楽しみではあります。

ウィズアットダンスは、マツリダゴッホと相性の良い、Bold Ruler・Princequillo・Never Bendの血を持ち、スピードと前粘り要素を期待できるローレルゲレイロを母の父に持っていることが出資の決め手となりました。
小柄なことはネックとしつつも、軽さを生かしてスッとハナをとれれば大丈夫、という具合で出資しています。

実際、得意とする競馬は先行する競馬であり、デビュー戦とダートに変わった中央ラスト2戦では前で粘って掲示板に入ってくれています。
競馬の方向性としては期待通りながら、サイズは想定より大きくなりませんでしたね。

現在は故障療養中ですが、この過程で馬体もふっくらしてきてくれると今後が楽しみです。
引き続き期待して応援し続けたいと思います。

ビヨンドザバラード セイントリースカウトの20

ビヨンドザバラードが教えてくれたこと
  • 順調に育成が進んでいることはすごく大切

ビヨンドザバラードは4戦して組合契約終了。
サラオクへ回り地方競馬に移籍しています。先日佐賀でデビューし、5着に入っています。

ビヨンドザバラードは母の産駒が中央・地方で長く活躍する馬が多いこと、ダノンバラードが当時勢いがあったこと、配合そのものも面白味があったことが理由で出資しています。
ただ、この配合の分析も出資したいから理由を探しに行っている感もあり、少し冷静さに欠いていたと反省しています。

ビヨンドザバラードはレースごとに成長を見せてくれており、着順は振るわないながらも、先がある印象を与えてくれる馬でした。
それだけに、奥手で晩成傾向だったことが悔やまれます。
岡田スタッドの生産馬にして、3次募集までに募集、もしくは売りに出せなかったということは、ある程度育成で苦戦していたことが想像できます。
先々のことをすべて予測はできませんし、一気に成長する馬もいるので、なんとも言えませんが、順調さは意識したい要素と改めて認識しました。

今後、佐賀で成長し、活躍してくれることを祈ります。

インゼルTC

インゼルTCの20年産出資馬についてもまとめていきます。
クラブにとって初年度募集馬であり、私も入会初年度の出資となりました。
フラットな環境で出資できるとあり、他クラブとバランスをとりつつ、厩舎、生産牧場を踏まえて出資申込をしています。

いよいよインゼルの2023年度募集も始まります。今年も楽しみです。

シュニー チカリータの20

シュニーは今年の1月初週に未勝利を突破してくれ、現在は1勝クラスで走ってくれています。
クラブのコメントからは、馬がまだ若く、しっかりしてくるまでは焦らずに進めていく方針であることが見てとれます。
先日も小倉で夏競馬に出走後、阪神でのレースに臨む過程で鼻出血を発症してしまっています。
無事に完治し、元気な姿を競馬場で見せてくれることを祈ります。

シュニーはGlorious Songの牝系で、中でもヴィルシーナ・シュヴァルグラン・ヴィブロスのきょうだいを出したハルーワソングの系統であることが大きな魅力でした。
加えて、Rahy=Morn of Songの全きょうだいクロスを持ち、Deputy Ministerの強いクロスもあることも魅力に感じ、スピードを生かした競馬を芝・ダートで発揮してくれることを期待しての出資でした。

デビューからここまですべてダートの4コーナー戦で、前目で競馬した際に良い成績を残しています。
デビュー戦は7頭中6頭が勝ち上がり、1着馬はユニコーンS勝ちのぺリエール、2着は青龍S勝ちのユティタムと、今思うと恐ろしいメンバーが揃っていました。
これは面白い縁だな、と思うのですが、ぺリエールの半妹が今年インゼルで募集されますね。(エモに負けそうな音)

鼻出血発症前は距離短縮をする方向で調整が進んでいました。
復活後、ぜひその路線で活躍してくれたらと思います。
母も丈夫で長く活躍した馬ですから、シュニーも元気にがんばってほしいですね。

オストファーレン Owaseyfの20

オストファーレンが教えてくれたこと
  • 「なのに」の馬への出資は難しい

オストファーレンは5戦未勝利で、サラオクへ。
資格もお金もないので手をあげることはできなかったのですが、時間ギリギリまで競り合うオークションとなり、300万円で落札されています。
サラオクで蟻道を患っていたことは驚きましたが、そのうえでこの価格はさらに驚きました。
新たな環境で活躍してくれることを心から祈ります。

オストファーレンはDanehillの4×3とSadler’s Wellsの4×4のクロスを持ち、かなり頑強でパワー&スタミナ感のある配合ながら、Medaglia d’Oroが柔らかな血を持っており、歩様も柔らかみもあり、このギャップがすごく良いのではないかと思い、出資しました。

実際、この配合に対して柔らかさのある馬でした。
反面、トモの緩さを指摘され続け、大久保厩舎の厳しい一杯調教でもなかなか解消できませんでした。

身体の成長が精神の成長にも影響するという実感は、オストファーレンからも受けており、調教で見せるパフォーマンスをレースで発揮することは最後までできませんでした。
毎回、本気を出してくれるんじゃないか、とわくわくしながらレースを見ていました。
和田ジョッキーが鞍上を務めてくれて、4コーナーからずっと追い続けて、ずぶいながらも末脚を発揮して8着に入ったレースはすごく感動したのを覚えています。

オストファーレンは命名もさせていただきましたし、本当に多くのことを経験させていただき、出資には全く後悔していません。
出資して本当に良かったなと思っています。
そのうえで、血統とギャップのある馬への出資の難しさはオストファーレンが教えてくれました。

蟻道が治って、治療期間で成長してくれたら、この先いきなりレースで力を発揮できるようになる、なんてこともあると思います。
今後の活躍をずっと応援し続けたいと思います。

大久保先生の管理される馬にはまた出資したいとすごく思っていて、価格次第ですが、今年早速出資したいと思っています。

クリダーム ブーケトウショウの20

クリダームは6月の函館開幕週の新馬戦を勝利し、クラブ初勝利を獲得してくれました。
その後、重賞初勝利も続けて獲得となるか、と思っていましたが、最後ブトンドールに差されて函館2歳Sは2着となっています。
以降は苦戦しており、夏のリフレッシュをあけて秋冬での復活を期待しています。

クリダームはハーツクライ×サクラバクシンオーのニックス関係や距離バランスに魅力を感じつつ、柔らかなスピードを母系がかなり持っていることが決め手となって出資しています。
奥手で時間がかかると思っていただけに、6月デビューで勝ってくれた時はかなり驚き、とてもうれしかったですね。

以降は苦戦しているものの、配合的には晩成タイプですし、スプリントの馬でもないと思っています。
折り合いがつくようになり、トモがしっかりしてきてくれれば、マイルあたりで走れるのではないかと期待しています。

厩舎の方針に注目しつつ、今後も応援していきます。

まとめ

すごく長くなってしまいましたが、20年産は9頭出資していたので、本当に充実した体験をさせていただきました。
組合契約が終わっていない4頭が今後も頑張ってくれると思いますし、これからもいろいろ体験できると思い、楽しみです。

反省をすることと、後悔することは異なることだと思っています。
この経験を糧に、より良い出資ができるようになりたいと思いつつ、同時にこの世代で出資した馬に対して、出資したことへの後悔はありません。

一口馬主、本当に楽しいです。
これからも持続的に楽しみ続けるためにも、収支プラスをめざしつつ、馬を見ていきたいと思います。

最後まで読んでくださりどうもありがとうございました。

引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

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この記事を書いた人

HN:シオノゴハン
趣味:競馬と雑学調べ
一口馬主:
シルクホースレーシング 2019年~
ノルマンディーオーナーズクラブ 2020年~
インゼルサラブレッドクラブ 2021年~
POG:不愉快な仲間たち

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