ノルマンディーOC 2021年度三次募集馬分析
ノルマンディーオーナーズクラブの2020年産四次募集が開始されました。
前回の三次募集がラストと思いきや、まだありました。すでに2021年産募集に気持ちが向かっていたので、消極的ではあるものの、全頭見ていきたいと思います。
締め切り的に、この記事は先行募集検討の役には立たないと思いますが、7月8日からの通常募集に結構残ると思いますので、通常募集でも見られる記事だと思って投稿いたします。
なお、こうした背景もあるので、今回の募集分析はかなりライトなものです。ご了承ください。
本分析は募集馬の活躍を保証するものではございません。出資などの最終のご判断はご自身にて実施をお願いいたします。
また、馬券的な分析をするものではなく、一口馬主として出資をするうえでの分析ですので、馬券を検討する際の情報としては有効なものではありません。ご了承くださいますようお願いいたします。
Youtubeも始めました。全頭まとめ結果も動画にしております。ぜひご視聴ください。
募集馬概要 シンデレラロマンスの20
- シンデレラロマンスの20
- 父:パドトロワ
- 母:シンデレラロマンス
- 母父:Elusive Quality
- 性別:牡馬
- 生年月日:2020年2月22日
- 母15歳時の産駒
- 所属予定:栗東 奥村厩舎
- 生産牧場:社台ファーム
- 募集総額:2,360万円
- 一口価格:59,000円
募集番号56番、シンデレラロマンスの20です。
父はパドトロワ、生産は社台ファームです。所属は栗東の奥村先生の厩舎、募集総額は2,360万円の牡馬です。
母シンデレラロマンスは社台レースホースで走った馬で、中央2勝、地方1勝をあげています。産駒はデビュー7頭中3頭が勝ち上がっています。祖母ダンスデザインは愛国のオークスを制しています。
シンデレラロマンスの20はSecretariatの5×5×5を持ち、その他にもBold Rulerの血を引いており、柔らかなスピードを継承していそうです。
そこにNureyev≒Sadler’s Wellsの5×4が入るため、引き締める要素も兼ね備えています。パドトロワは芝、ダートともに勝鞍は短距離に集中しており、この馬も短距離を走ることとなるのではないかと思います。短距離的な硬さとは少し違う印象も受けますが、全体的には北米的な要素も強いので良さそうではあります。
パドトロワの活躍馬はサンデーサイレンスのクロスを持つケースが多いのですが、それらは同時にノーザンテーストやDanzig、Nureyevなどの血を持っています。これは柔らかなスピードを増強しつつ、緩めないことが大事であることの示唆でしょう。それを鑑みると良いバランスなのではないかと思います。厩舎も良いですし、パドトロワ産駒としては良さそうです。
父パドトロワにどこまで期待をするか、というのが出資の分かれ道ではないかと思います。
募集馬概要 タムロウイングの20
- タムロウイングの20
- 父:キズナ
- 母:タムロウイング
- 母父:ブラックホーク
- 性別:セン馬
- 生年月日:2020年4月20日
- 母14歳時の産駒
- 所属予定:栗東 昆厩舎
- 生産:宮内牧場
- 募集総額:1,720万円
- 一口価格:43,000円
募集番号57番、タムロウイングの20です。
父はキズナ、生産は宮内牧場です。所属は栗東の昆先生の厩舎、募集総額は1,720万円のセン馬です。
母タムロウイングはダート1000メートルで3勝をあげているスピードタイプです。母の下にはアンタレスステークスを勝利したモルトベーネがいます。
この馬は募集前に去勢されており、セン馬となっています。
母タムロウイングがNureyevからNantallahを引き、Mr.ProspectorとRobertoからNashuaの血を引いており、北米的な力強さは十分に持っている印象を受けます。そこにキズナが入り、母がノーザンテーストの血を引きますから、Storm Birdとノーザンテーストの北米的な要素が掛け合わさり、より力強さが累進されるのではないかと思います。
牡馬であれば、ダートで力強く走ってくるイメージがわきます。
種付け料が上がっているキズナ産駒にこの価格で出資できるのは、チャンスと見ることもできるでしょう。そう思うかどうかが出資の分岐点ではないかと思います。
募集馬概要 スマートストームの20
- スマートストームの20
- 父:ラブリーデイ
- 母:スマートストーム
- 母父:アグネスタキオン
- 性別:牝馬
- 生年月日:2020年6月1日
- 母16歳時の産駒
- 所属予定:美浦 牧厩舎
- 生産:岡田スタッド
- 募集総額:840万円
- 一口価格:21,000円
募集番号58番、スマートストームの20です。
父はラブリーデイです。生産は岡田スタッドの牝馬です。もともとはオーナーズプロで募集されていた馬のようです。募集総額は840万円で、四次募集の最安値です。オーナーズプロのホームページを確認する限り、2021年12月に中央新馬で募集開始されたものの、2022年の5月末を持って募集中止となっています。
そのため、近況情報も昨年12月から更新が行われており、順調に育成されていました。
父ラブリーデイは、2022年6月3週までで、出走頭数125頭、うち勝ち上がりが22頭で、勝ち馬率が17.6%と苦戦しています。そうした背景もあって、オーナーズプロでは募集が集まらず、400口募集に回ってきたのかな、と推測しています。
母スマートストームは中央2勝。半兄のマンガンが地方デビューで地方グレード競走を勝利するなど、1億円弱の賞金を獲得しています。母の上にはNHKマイルで2着に入ったシンコウエドワードがいます。
ラブリーデイ産駒のうち、総賞金が2022年6月時点で2,000万円を超えた馬は8頭おり、うち7頭はサンデーサイレンスのクロスを持ちます。サンデーサイレンスのクロスはこの馬も持っています。
加えて、この馬はHornbeamの6×7×6を持ち、Nasrullah+Hyperionの特性を引き継ぐことができています。
父ラブリーデイはNijinskyの4×6を持ち、母スマートストームはStorm Birdを母の父に持ちます。するとスマートストームはNijinsky≒Storm Birdを5×7×3で持つこととなります。柔らかめの血が多いところに、この北米的な力強さを持つニアリークロスはバランスをとるうえで良さそうな印象を受けます。
それと同時にアグネスタキオンがNorthern Dancerの血を持たないため、Northern Dancerの抜け道もあるのも好材料でしょう。
パドトロワとラブリーデイは勝ち馬率で言えば同じくらいで、今回の募集での横比較で言えば、こちらがお安いのか、あちらがお高いのか、その表現は悩ましいところですね。
募集馬概要 ロトクレドールの20
- ロトクレドールの20
- 父:フリオーソ
- 母:ロトクレドール
- 母父:アドマイヤムーン
- 性別:牝馬
- 生年月日:2020年4月19日
- 母7歳時の産駒
- 所属予定:栗東 坂口厩舎
- 生産:広富牧場
- 募集総額:1,280万円
- 一口価格:32,000円
募集番号59番、ロトクレドールの20です。
父はフリオーソ、生産は広富牧場です。所属は栗東の坂口先生の厩舎で、募集総額は1,280万円の牝馬です。
所属予定の坂口先生はマイネルプロンプトやエイシンクリックなどを管理されており、障害競走で活躍する馬を育てている印象があります。ノルマンディーオーナーズクラブで一口馬主をやっていると、あらゆる可能性を探って、成果が出そうなところを狙って使ってくれる厩舎が本当にありがたいな、と思います。
坂口先生はひょっとするとそういうタイプの調教師の方なのかもしれません。前述のエイシンクリックは2勝クラス時にステイヤーズステークスに出走し、3着に入っています。
母ロトクレドールは中央デビューも未勝利。地方で2勝をあげています。ロトクレドールは近親含めて地方ダートで走っています。
父フリオーソはRoberto、Mr.Prospector、Nureyevの血を持ち、Nashua≒Nantallahの力強さを持っています。産駒もその要素を増強した馬が活躍している傾向があり、スピードのあるMr.Prospector系の血を持つと良いと思います。
ロトクレドールの20は、アドマイヤムーン、シャンハイ、ミスファビーがMr.Prospectorを父系に持ち、フリオーソの良さを増強できている印象があります。
フリオーソがRoberto系であること、ダートが主戦場であることから、牝馬は牡馬と比べると低調です。そこをどう捉えるかが出資の分岐点かと思います。
募集馬概要 ローマンミストレルの20
- ローマンミストレルの20
- 父:Tapwrit
- 母:Roman Mistress
- 母父:Fusaichi Pegasus
- 性別:牝馬
- 生年月日:2020年3月8日
- 母14歳時の産駒
- 所属予定:美浦 矢野厩舎
- 生産:米国
- 募集総額:2,440万円
- 一口価格:61,000円
募集番号60番、ローマンミストレルの20です。
父はTapwrit、米国産でフロリダのトレーニングセール購入馬です。所属は美浦の矢野先生の厩舎で、募集総額は2,440万円の牝馬です。
父Tapwritはベルモントステークスの勝ち馬です。ベルモントステークスはアメリカ三冠の最後のレースで、ダート2400メートルで競われます。祖父Tapitの産駒はベルモントステークスを得意としており、スピードとスタミナを兼ね備えたタイプが多くいます。そんな父の個性を受け継いだのがTapwritだと考えられます。
母ローマンミストレルは北米で1勝。母のきょうだいにG1級がいたりと、なかなか優秀な母系のようです。
セール時の走る姿では、トモがさらに成長してくるとより速くなってきそうな、そんな印象を受けます。
父、母ともにMr.ProspectorとRobertoの血を引いており、Nashuaのクロスが引き続き増強されます。
父はそこにSeattle Slewのクロス、母はDanzigとStorm Birdですから、父からは北米的なスピード、母からは頑健さを受け継ぐイメージでしょうか。
外国産馬でこの価格ですから、収支プラスにはオープンクラスの活躍が求められます。牝馬のダート路線ですから、結構厳しい水準ではありますね。おそらく1800mが主戦場になると思いますが、その距離をこなせそうな背景なのはプラスでしょう。
スタミナが豊富なタイプでしょうし、地方のダートもこなしてくるのではないかと思います。地方の牝馬ダート重賞を勝つレベルかどうかが出資の分岐点でしょうか。
母としても楽しみなタイプだと思います。
募集馬概要 シニアプロムの20
- シニアプロムの20
- 父:Twirling Candy
- 母:Senior Prom
- 母父:Mr.Greeley
- 性別:牝馬
- 生年月日:2020年5月4日
- 母9歳時の産駒
- 所属予定:美浦 菊沢厩舎
- 生産:米国
- 募集総額:2,160万円
- 一口価格:54,000円
最後に募集番号61番、シニアプロムの20です。
父はTwirling Candy、こちらも米国産でフロリダのトレーニングセール購入馬です。所属は美浦の菊沢先生の厩舎で、募集総額は2,160万円の牝馬です。
父Twirling Candyは芝、ダート、オールウェザーでそれぞれ勝利をしており、G1では短距離戦のマリブステークスを勝利しています。産駒のRombauerがアメリカ三冠の一冠であるプリークネスステークスを制覇しており、産駒は北米で順調に活躍しています。
祖父Candy RideからはGun Runnerが出ており、北米の古馬路線で大きな成果を残しています。Gun Runnerは種牡馬としても初年度から2歳リーディングを獲得しています。北米で活躍している父系です。
母シニアプロムは北米2勝。近親では大物はいないものの、重賞好走馬が複数います。
父がスピードがあるタイプですし、シニアプロムの20も芝、ダートのマイルで見られるのではないかと思います。
シニアプロムの20は母としてとても楽しみな存在だと思います。
父Twirling Candyの父系は母系に入って活躍馬を多数出しているFappiano系ですし、Blushing GroomとEl Gran Senorなどディープインパクト後継、キングカメハメハ後継と妙味のある血が入っています。
母シニアプロムはGone Westの血を持ち、この血はキズナを始めとするディープインパクト×Storm Catと好相性です。ドゥラメンテとも相性の良かった血で、ドゥラメンテ後継が出てくれば、そことも好相性となる可能性があるでしょう。
シニアプロムの母の父Royal Academyは、Storm CatとSecretariat以外はかなり近い血を持っており、ニアリーな関係。(Royal Academyの母がStorm Catの祖母。NijinskyとStorm Birdがニア)
Gone WestがSecretariatの血を持つので、母シニアプロムは血統全体でStorm Catを持っているイメージでしょうか。
これらを総合していくと、Storm Catの血を持つディープインパクト後継や、ロードカナロアやその後継と好相性となる可能性が高く、母として活躍する期待ができるのではないでしょうか。
ノルマンディーオーナーズクラブは母馬優先権のあるクラブですから、そこを長い目で目指していく路線で出資を検討するのはアリだと思います。とはいえ、必ずノルマンディーで募集されるとも限らず、また、必ずしも混戦となるわけでもないと思うと、判断に悩むところです。
走る姿も頼もしいですし、おもしろい馬だと思います。競走馬としての能力にも期待できると思えるかどうか、そこが出資の分岐点ではないかと思います。
厩舎も菊沢先生のところで、アエロリットやダイワキャグニーなどの活躍馬を管理されています。その辺りも良さそうな印象です。
まとめ
一通り分析を実施してみたものの、シルクの21年産募集が間近に迫った今、ここで追加をするのは難しいと感じています。
通常募集以降、進捗などを見ながら期待が持てそうであれば、シニアプロムの20はおもしろいと思います。
また、ラブリーデイ産駒のスマートストームについても、安価ですし、もともとはオーナーズプロで募集されていた馬ですから、そう悪くないのではないかと思います。
募集時期が厳しいなあという印象ですが、おもしろい馬がそろった四次募集だと思います。とりあえずは様子見させていただきます。