種牡馬&BMS-キングカメハメハ の分析

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種牡馬&BMS‐キングカメハメハの分析

 キングカメハメハが種牡馬を引退したのは2018年。亡くなったのは2021年のことでした。2022年にクラシックを走る世代がキングカメハメハの最終世代となります。

 2008年に産駒がデビューすると、産駒デビュー3年目の2010年にリーディングサイアーを獲得。翌2011年もリーディングサイアーを獲得しますが、2012年にジェンティルドンナ・ヴィルシーナの活躍によりディープインパクトがリーディングサイアーを獲得。以降2012年から18年まで7年連続2位を記録しました。サンデーサイレンス系の血を持たない種牡馬として、日本競馬をずっと支えてきた名種牡馬です。

 15頭ものG1馬を輩出したこともあり、後継にも恵まれています。代表産駒のロードカナロア、ルーラーシップ、亡くなってしまいましたがドゥラメンテからはすでにG1馬が出ています。

 BMSとしても2020年から2年連続でリーディングを獲得しており、母の父としても非常に優秀です。2022年2月時点で7頭のG1馬を出しています。

 種牡馬の父として、母の父としてのキングカメハメハは今後も長く日本競馬に影響を与え続ける存在で、そこを分析することで、出資方針などのヒントになると思い、分析を行います。

種牡馬分析 注意書き

 本分析は自分自身が一口馬主として競走馬に出資しており、自分自身の投資先を選ぶための分析を公開している範囲ですので、種牡馬の活躍を保証するものではございません。最終の判断はご自身にて実施をお願いいたします。また、馬券的な分析をするものではなく、一口馬主として出資をするうえでの分析ですので、馬券を検討する際の情報としては有効なものではありません。ご了承くださいますようお願いいたします。

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キングカメハメハの戦績

 キングカメハメハは通算8戦7勝、3着1回という戦績。重賞成績は以下。

  1. G1級競走 2戦2勝
    1. NHKマイルカップ 1着 東京-芝1600m 
    2. 日本ダービー 1着 東京-芝2400m 
  2. G2級競走 1戦1勝
    1. 神戸新聞杯 1着 阪神-芝2000m
  3. G3級競走 2戦1勝
    1. 神戸新聞杯 1着 阪神‐芝2000m
    2. 京成杯 3着 中山-芝2000m

日本ダービーレースレコードで勝利。2分24秒代すら出ていない時代に2分23秒3の猛時計での勝利

翌年、ディープインパクトが同タイムで勝利。以降キングカメハメハ産駒のドゥラメンテが2015年に0.1更新するまで破られなかった

 キングカメハメハは先行押切型の競馬を得意とし、長い直線でいい脚を持続的に使い続ける競走馬でした。レコードタイムを同じように記録したディープインパクトとは脚質が全く違うのがまた競馬の面白さですね。

 神戸新聞杯後に屈腱炎を発症し、引退・種牡馬入りとなっています。

キングカメハメハの種牡馬・BMSとしての魅力

キングカメハメハ

キングカメハメハの持つ魅力

  1. NHKマイルカップ・日本ダービーをレコードで勝利する高い競走能力
    • スピードの絶対値が高い。
    • 3歳で活躍できる成長スピード。
    • 1600m・2000m・2400mの根幹距離・王道コースへの高い適性。
  2. 3/4Northern Dancer・1/4異系という配合
    • 3本のNorthern DancerがNureyev・Try My Best ・Nijinskyの名種牡馬で魅力的なニアリークロスを発生させやすい
    • 1/4異系が大種牡馬Mr.Prospector
  3. 母マンファスが名牝系出身かつ繁殖能力も高い
    • マンファスはAimeeから連なる名牝系出身。名種牡馬Blushing Groomの他、重賞馬が世界各地で出ている一族の出。
    • マンファスの産駒には米G1馬The Deputyがおり、キングカメハメハ以外にもG1馬を出している。
  4. サンデーサイレンスやHaloの血を持たない

NHKマイルカップ・日本ダービーをレコードで勝利する高い競走能力

 キングカメハメハはNHKマイルカップ・日本ダービーでレコードで勝利しており、マイルでも勝てるスピードを持ちながら、日本ダービーでもその速さを持続するスタミナを持ち合わせていました。これは特筆すべき能力です。スピードの絶対値が高いのはまず間違いのないことでしょう。

キングカメハメハ NasrullahとHyperion

 キングカメハメハはNasrullah+Hyperion的な血統背景を持ちます。エアグルーヴの分析の際にも話題に上がりましたが、Nasrullahはスピードと柔らかさ、Hyperionはスピードの持続力とスタミナを産駒に伝えてくれるイメージです。これらの要素はいずれも直線の長いコースでの適性を高めますから、東京競馬場で行われるNHKマイルカップ・日本ダービーで好成績を残せたのは、その要素があったのだと推測できます。

 マンファスの母Pilot BirdはNasrullah+Hyperion血脈のHornbeamの血を引くため、エアグルーヴと掛け合わせるとNasrullah+Hyperionの増強がバチっとはまることになります。※Hornbeamはトニービンの母父。

 ルーラーシップ、ドゥラメンテは共にNasrullah+Hyperionを刺激した競走馬ですし、長い直線のある大箱コースで高い適性を示しました。キングカメハメハの後継種牡馬には、このようにNasrullah+Hyperionを刺激したタイプがいることを想定すると、コース適性や目指せる路線が見えてくるのではないかと思います。

3/4Northern Dancer・1/4異系という緊張と緩和の配合

 キングカメハメハはNorthern Dancerの4×4×6という配合。Northern Dancerの血を持たないのは祖父母ゾーンではMr.Prospectorのみとなります。Northern Dancerの緊張状態をMr.Prospectorが緩めているという構図で、そのどれもが大種牡馬ですから、隙がありません。サンデーサイレンスが日本で流行したのも、Northern Dancerに対して異系の血脈になり、かつ競走能力が高い優秀な血であったことが理由としてあげられます。緩めたのがMr.Prospectorでない別の種牡馬であったら、キングカメハメハは競走馬としても、種牡馬としてもここまで活躍はできなかったのではないでしょうか。

 キングカメハメハはNorthern Dancerの血をNureyev・Try My Best ・Nijinsky(Green DancerはNijinsky産駒)を通して引きます。NureyevとTry My Best は優れた母を持ち、活躍馬を多数出す全きょうだいクロス・ニアリークロスを発生させます。

  • Special (父Forli・母父Nantallah) Hyperion+Nasrullah血脈(スタミナ寄り)
    • Nureyev (父Northern Dancer)
    • Fairy Bridge (父Bold Reason)
      • Sadler’s Wells (父Northern Dancer)
      • Fairy King (父Northern Dancer)
  • Sex Appeal (父Buckpasser) 北米スピード血脈
    • Try My Best (父Northern Dancer)
    • El Gran Senor (父Northern Dancer)
    • ロッタレース (父Nureyev) ※アーモンドアイの祖母

 このように名牝のクロスを発生させられるNorthern Dancer直仔を複数持っているのは、キングカメハメハの大きな魅力の一つです。また、NijinskyとTry My Bestはニアリーな関係にあり、Buckpasser的な要素をキングカメハメハの時点で持っている状態です。Nijinsky≒Try My Bestのとき、母父にBuckpasserを持つマルゼンスキーもまたニアリーな存在となるため、Try My Best≒マルゼンスキーもまた成立するとみて良いと考えられます。

 活躍した産駒にはマルゼンスキーの血やNijinsky≒Try My Best のBuckpasser要素を引き出している馬(レイデオロやアパパネ)がいます。

Try My BestとNijinsky Northern Dancerが共通しBuckpasserの構成要素がニア
Try My Bestとマルゼンスキー Try my bestとNijinskyがニアなところにBuckpasserが重なる

 こうした魅力的なNorthern Dancerの血を持つキングカメハメハですが、Northern Dancerの緊張度合が高い種牡馬であるため、繁殖牝馬には上記の魅力的なNorthern Dancerの血を生かしつつも、異系血脈を取り入れることが肝要となります。

ロードカナロア・アパパネはメールラインが非Northern Dancer

レイデオロ・ローズバド・ルーラーシップ・ドゥラメンテは母父が非Northern Dancer

 ラブリーデイ・リオンディーズといったNorthern Dancerが濃いパターンでも成功しているケースはあり、一概には言えませんが、3/4Northern Dancer・1/4異系が成り立つ産駒が大きな成果を残す傾向があります。

 1/4が異系の場合、父や母父になるとNorthern Dancerのラインのみとなりますから、キングカメハメハ後継の種牡馬で考えるときも、1/4が非Northern Dancer系となっているか、かつ1/4が魅力的な異系であるかは注目すべき点です

母マンファスが名牝系出身かつ繁殖能力も高い

 母マンファスはBlushing Groomを出したAimee牝系の出身で、一族からは多数の受賞馬が出ています。かつ、マンファスからはキングカメハメハ以外にもThe Deputyという米G1馬が出ています。

 マンファスの魅力は前述のTry my best≒Nijinskyの2×4を持ち、北米のスピードとパワーを増幅する素地を持つこと。そして、Nasrullah+Princequillo(+Hyperion)のMill Reef、Nasrullah+HyperionのHornbeamが入っていることで、Nasrullahを軸とした持続力Hyperionにも、キレ味Princequilloにも触れることができる素地があることです。

 また母父にアウトサイダー血脈のBlakeneyの血を持ちますが、これはTourbillon系種牡馬Djebelの子孫です。DjebelはNever Bendの母父父です。Never Bendの母LalunはSadler’s Wellsの母父Bold Reasonの母でもあるため、Sadler’s WellsやRiverman・Mill Reefの血を引く競走馬はDjebelの血を持ちます

 Djebelはフランスで活躍した競走馬です。フランスの競馬は道中スローで直線での伸び勝負の傾向があり、Djebelもその要素を産駒に伝えます。Mill ReefやRivermanの血を引く馬がキレるのはDjebelの要素があると推測できます。日本でかつて流行したパーソロンもTourbillon系種牡馬で、今の日本競馬の直線キレ味勝負にも通ずるものがありますね。

 キングカメハメハ産駒でMill Reefの血を引く馬ではローズキングダムがいます。分解してNasrullah+Princequilloを生かしたタイプでは、ロードカナロアもそのジャンルに入れることができます。

 マンファスの持つDjebel・Mill Reef(Never Bend)的な要素は母父に入っても効果的に働いており、エピファネイアと相性が良いのはSpecialのクロスがあるからというだけではないでしょう。

サンデーサイレンスやHaloの血を持たない

 キングカメハメハはサンデーサイレンス・Haloの血を持たずに日本ダービーでレコードをたたき出しました。日本の芝適性の高いスピード、キレ味を持つ血を入れずにこの成果を残したのですから、キングカメハメハ自身の能力の高さ、適性の高さを感じさせられます。

 裏を返せば、キングカメハメハにサンデーサイレンス血を入れていくとより高い日本の芝中距離への適性を高めることができます。※キングカメハメハがHaloのニアリークロスの血も持たないので、サンデーサイレンスに限定したほうが適切ではあります。

 ラブリーデイ・ローズキングダム・ドゥラメンテはサンデーサイレンスの血を引き、芝中距離路線で活躍しました。

 キングカメハメハ同様にNasrullah+Hyperion強化で中距離路線で活躍したのがルーラーシップですが、日本国内でG1制覇できなかったのはサンデーサイレンスの血が入らなかったという要素もあるのではないでしょうか。レイデオロはBuckpasser的なスピード強化とBold Ruler+Princequilloによるスピード&キレ強化ですから、父と異なるアプローチでサンデーサイレンス系全盛の日本芝中距離で日本ダービーを制して見せました。

 サンデーサイレンスの血を持たないキングカメハメハ産駒では、ホッコータルマエ・ロードカナロアがいます。ホッコータルマエはHalo的な血を入れつつ、Mr.Prospector刺激でダート適性を高めていますね。ホッコータルマエはダート、ロードカナロアは短距離ですから、大きな成果を残した馬ですが主流路線での活躍ではありませんでした

 サンデーサイレンスの血を入れていくことで芝中距離路線での適性が高まることが推測でき、それはサンデーサイレンスの血を持たない後継種牡馬においても共通しますし、母の父に入っても共通するでしょう。

キングカメハメハが引き出し型種牡馬な理由

 キングカメハメハは種牡馬としては母や母父の個性を引き出し、母の父としては父やメールラインの個性を引き出す、という傾向があります。

 それがキングカメハメハが名牝を母に持つNorthern Dancer産駒の血を引くことに加え、Nasrullah・Hyperion・Princequilloの主要な血を各所に持っており、その要素の組み合わせで現れる個性が大きく変わるからだと考えられます。かつ、大きな成果を残すためには、異系の血脈がほしい血が緊張した種牡馬であり、それだけに異系血脈の影響を受けやすいということも理由としてあげられるのではないでしょうか。

 これもまた後継種牡馬、繁殖牝馬においても共通する要素だと思います。ここで注意しなくてはいけないのは、その後継や繁殖はキングカメハメハのどの要素を強化しているか、という点です。強化したポイントをさらに強めるのか、逆に補っていくのか、それを見ていくと良いのではないかと思います。わかりやすいのはロードカナロア・ルーラーシップにサンデーサイレンスを入れていく、エピファネイアに母父キングカメハメハをあてる、でしょうか。

母の父キングカメハメハのポイント

母の父キングカメハメハの分岐ポイント

  • 母系にサンデーサイレンスの血が入っている
    • サイアーラインが非サンデーサイレンス系が好相性。日本芝適性の向上+パワーとキレ補強に期待
  • 母系にMr.Prospectorの血が入っている
    • 母はダートで活躍している
      • Nantallah≒Nashua要素が出ている可能性。ダート種牡馬との相性に期待できそう
    • 母は芝マイルあたりで活躍している
      • ディープインパクト後継(サンデーサイレンス孫世代)種牡馬との相性に期待できそう
  • 母系にRobertoの血が入っている
    • ダート系種牡馬かつスピードに期待できるタイプとの相性に期待できそう
  • 母系にNorthern Dancerの血が入っている
    • Northern Dancerの血を父のラインか母のラインで持っていない種牡馬との相性で緩和したほうが良さそう

 キングカメハメハが前述の理由から引き出し型である以上、繁殖牝馬がキングカメハメハのどのような要素の影響を受けているか分析が大切です。とはいえ、そこまで詳細にやらずとも、大枠でとらえることも可能だと思います。最終的には個別に分析したほうが良いのですが、大枠の傾向としては上記の方向性が考えられそうです。

 インディチャンプはトキオリアリティーの影響が強く出ていますが、異系血脈で北米の血とDjebelを入れており、ノーザンテーストの北米要素、ディクタスのフランス要素を引き出し、ステイゴールド産駒ながらマイルでのスピードとキレ味を産駒に伝えています。

 細かく見ると様々な要素がありつつも、大枠で話せばブラストワンピースデアリングタクトソダシはいずれも母系にサンデーサイレンスを持ち、父は非サンデーサイレンス系。

 大枠で見ても適性の方向性は感じ取ることができますし、詳細に調べれば、どのような路線での活躍が期待できるのか、またその期待値はどれくらいかを分析できるのではないかと思います。

まとめ

 とても長くなってしまいましたが、キングカメハメハについてまとめました。ご参考になりますと幸いです。

 後継種牡馬、ルーラーシップとドゥラメンテについてもお読みいただけるとうれしいです。


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この記事を書いた人

HN:シオノゴハン
趣味:競馬と雑学調べ
一口馬主:
シルクホースレーシング 2019年~
ノルマンディーオーナーズクラブ 2020年~
インゼルサラブレッドクラブ 2021年~
POG:不愉快な仲間たち

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