インゼルTC 2024年度募集 募集馬18頭全頭分析
本記事ではインゼルTCの2024年度募集の募集馬全18頭を私なりに見て考えたことをまとめます。
インゼルTCもクラブ発足から4年。私は大好きなクラブで、本当に毎年すごくうれしい体験をさせていただいています。
初の出資命名馬(オストファーレン)、初の重賞出走馬、重賞連対馬(クリダーム)はインゼル所属馬ですし、今年だと未勝利戦最終週、台風の中のレースでマルモアが勝ち上がってくれるという印象的なレースがありました。
私は武豊ジョッキーが好きで、そして松島オーナーと武豊ジョッキーの夢を応援しています。
そんな背景もあって、発足時に迷わず入会を決め、今日まで後悔なく楽しませていただいています。
今年の募集馬のラインナップを見た時、その夢の一端に関われるかも、という印象も受けています。
ホームページのリニューアルや募集体型の変更など、毎年様々なトライをしながら、会員向けサービスをよりよくしていこうとしてくださっている印象も受けています。
クラブが良くなっていくところを、会員として中で体験しながら、楽しみながら過ごせるのは、クラブの魅力だと私は思っています。
今年は予算のバランスも考えつつ、頭数を絞って申し込む予定ですが、その代わりに後悔がないよう分析しようと思いました。まず血統部分までの検討結果のご共有ですが、ご参考になりましたら幸いです。
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募集馬の分析 注意書き
本分析は私シオノゴハンが個人で行っているものであり、募集馬の活躍を保証するものではございません。
出資などの最終判断は、ご自身にて実施をお願いいたします。
ご了承くださいますようお願いいたします。
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No.1 シュガーハートの23
シュガーハートの23は父コントレイル、母の父サクラバクシンオーの牡馬です。
生産はヤナガワ牧場、所属は栗東の清水先生の厩舎を予定しています。
この母、生産牧場、厩舎ということで、キタサンブラックの半弟です。
父コントレイルがディープインパクト産駒、キタサンブラックの父ブラックタイドがディープインパクトの全兄ですから、シュガーハートの23はキタサンブラックの3/4弟に該当します。
母シュガーハートはキタサンブラックだけでなく、2024年の青葉賞馬のシュガークンも産み、繁殖としての実績をさらに積み上げました。
父コントレイルはディープインパクト×北米ニックスという配合馬で、無敗での牡馬三冠を達成するなど抜群の競走成績を残しました。
父としては北米的な要素が濃く、欧州の粘り強さを取り入れたほうが成果が出るのではないかと考えています。
母の父サクラバクシンオーは稀代のスプリンターでしたが、NasrullahとHyperionの血に北米の前向きな気性を取り入れた配合イメージです。
スプリントの距離、ペースを先行して押し切るスタミナがあった、とも表現できるタイプです。そこに中距離馬のブラックタイドを取り入れたことで、対応できるペースと距離が伸びたのがキタサンブラックというイメージでしょうか。
この要素は父がコントレイルに代わってもプラスに働くと考えられ、持続力を産駒に伝えてくれるのではないでしょうか。
母シュガーハートの母系もBold RulerとLyphardですから、柔らかな要素と粘り強い要素を両方持っています。
全体で見ると、前進気勢のある北米血統も充実しており、コントレイルのようにキレるタイプではなく、キタサンブラックのように先行して押し切るタイプになるのではないか、という印象を受けます。
ほぼ5月生まれと言っていい4月末の生まれで、まだ成長の余地があるのではないかと思います。
クラシック路線での活躍を期待したい良血馬ですし、楽しみな存在です。
ダートもこなせるのではないか、という印象も受けていて、想像できる一番大きな夢は中東ではないかと思います。
No.2 ダストアンドダイヤモンズの23
ダストアンドダイヤモンズの23は父シルバーステート、母の父Vindicationの牝馬です。
厩舎は栗東の友道先生を予定しており、半兄には朝日杯FS、日本ダービー、有馬記念を勝ったドウデュースがいます。
No.1がキタサンブラックの半弟で、No.2がドウデュースの半妹というのは、すごいラインナップだな、と思います。
母ダストアンドダイヤモンズは北米で活躍した競走馬で、スプリント重賞を制しているスピードのあるタイプです。
同牝系からダンシングブレーヴが出ており、3代母Darling Dameはダンシングブレーヴと3/4同血です。
母の父Vindicationは北米2歳チャンピオンで、早熟かつスピードのあるタイプでした。
半兄ドウデュースはハーツクライ×Seattle Slewというニックスを持ち、そこにSecretariatが入るので、Bold Ruler+PrincequilloとトニービンのNasrullah+Princequilloの要素が濃いタイプ。
そのイメージだと、府中などの大箱で長い脚を使って好走してきそうなイメージなのですが、実際は朝日杯や有馬記念を勝利するなど、ピッチをあげて力強く加速して一気に差す競馬を得意としています。
ダストアンドダイヤモンズの23は父がシルバーステートで、シルバーステートはRoberto的な要素が強く、中山を得意とするタイプ。
そこにダストアンドダイヤモンズのBold Ruler+Princequilloの要素は方向性が逆行しそうな印象を受けもするのですが、ドウデュースの走りのイメージを見ると、母が産駒に伝えるのは北米的な力強さとスピードという、身体的な特徴なのかもしれません。
そのイメージで行くと、やはり期待したいのは阪神JFであり、桜花賞です。
ダストアンドダイヤモンズの23がデビューするころには阪神競馬場の工事も終わっていますし、半兄のように2歳から活躍するところを見せてほしい1頭です。
No.3 チカリータの23
チカリータの23は父キタサンブラック、母の父クロフネという配合の牡馬です。
厩舎は栗東の松永幹夫先生の厩舎を予定しています。
母チカリータはインゼルおなじみの母で、キーファーズ所属で27戦2勝、2着11回というタフな戦績を残したダート馬です。
ヴィルシーナ、シュヴァルグラン、ヴィブロスのきょうだいを出したハルーワソングの牝系出身です。
私はこの馬の半姉にあたるシュニーに出資しています。
シュヴァルグランはキタサンブラックと同世代の競走馬で、2017年のジャパンカップではキタサンブラックに先着し、悲願のG1勝利をあげてます。
前述の通り、牝系はシュヴァルグランと共通しますから、ライバルの血を取り入れた配合です。
Haloやサンデーサイレンスのクロスを持ち、Nureyevの血を取り入れたキタサンブラック産駒にはイクイノックス、コナコースト、テーオーステルスが出ており、好相性を示しています。
また、クロフネ、フレンチデピュティだとウィルソンテソーロやガイアフォースが出ており、そこもまた好相性の組み合わせです。
芝、ダート、マイル、中距離、どの方向に進んだとしても、成功事例が存在する配合というのは、なかなかに魅力的です。
4月下旬の生まれで、まだ成長の余地がありそうなタイプですし、とても楽しみな存在です。
No.4 ヴィニーの23
ヴィニーの23は父エピファネイア、母の父ディープインパクトという配合の牝馬です。
母ヴィニーはキーファーズ所属で中央1勝も、脚部ぶ不安のあるタイプで、ポテンシャルに対して走り切れなかった印象でした。
インゼル定番の母で、産駒はすべてインゼルで募集されており、厩舎もすべて池江先生のところです。
ロードカナロア産駒のブラーヴイストワルが中央勝ち上がりを決めています。
2022年産のパブリックビーナスは本馬の全姉にあたります。
祖母コケレールは欧州G1馬で、牝系からは欧州活躍馬が多数出ています。
父エピファネイアは柔らかな要素を持つRoberto系種牡馬で、クラシック路線で毎年産駒が活躍している名種牡馬です。
特に牡馬に関してはサンデーサイレンス系統の中距離馬と相性がよく、引き締めるより緩いくらいの方が走っているイメージです。
牝馬に関しては、サンデーサイレンスのクロスと同時に引き締める要素があったほうが良さそうな印象で、キングカメハメハやマイラーの血が入ると魅力的だと私は見ています。
ヴィニーの23は母の父に中長距離馬のディープインパクトを持ち、そこにGone WestとCaerleonですから、柔らかくストライドを伸ばす要素が充実している印象を受けます。
となると、ポイントとなるのはピッチをあげる力強さが実馬にどれくらい備わっているかという点です。
十分な筋肉が身についていて、ピッチをあげることができれば、早く大きく動くことができ、直線ですばらしい末脚を発揮してくれると考えられます。
No.5 サヴァランの23 Savarinの23
サヴァランの23は父Kendargent、母の父ディープインパクトという配合の牡馬です。
厩舎は栗東の吉岡先生を予定しています。
吉岡先生には私はノーブルロジャーでお世話になっており、吉岡先生の厩舎の馬だから、ということが出資理由にできるほど、好きな調教師の先生です。
母Savarinはキーファーズの松島オーナー所有馬でした。欧州で走り、G3を勝利した重賞馬です。
祖母Sarafinaは欧州G1を3勝し、凱旋門賞でも3着に入った名牝です。牝系からも活躍馬が多数出ています。
父KendargentはGrey Sovereignの系統の種牡馬で、その中でもKalamounの系統です。
Kalamounの系統にはトニービンがおり、日本でも良く知られた父系です。日本でも欧州でも他の系統に押され気味な状況ですが、ハーツクライやルーラーシップ、ドゥラメンテなどが母系からその血を引いています。
KendargentはそのKalamounのクロスを持ちます。KalamounはNasrullahとRivazの全きょうだいクロスを持つ柔らかな要素を持つタイプ。
したがってKendargentもまた、柔らかな要素を産駒に伝えるタイプと考えて良さそうです。
そこに粘り強さを与える要素も入っているため、ストライドを伸ばして長い直線で末脚を発揮し続けるイメージでしょうか。
Kendargentは重賞2着はありますが、勝ったことはなく、目立った競走成績を残していません。代表産駒のSkalletiはフランスで大きな成果を残しており、かつ緩んだ馬場もこなす道悪にも強いタイプ。長い直線での持続力は産駒に伝えるタイプだと仮説立てられます。
祖母SarafinaがSadler’s WellsとMill Reefの血を持つ、いわゆるSadler’s Wells×Never Bendの欧州ニックスを持つ馬で、スタミナと馬力の重厚な要素を持っているタイプで、これは前に行って粘り切る英国的な要素で、Kendargentの仏国的な要素とはまた少し異なる欧州要素でしょうか。
サヴァランの23は父からも母系からも欧州的な要素を取り入れ、そこに母の父ディープインパクトですから、全体的に欧州的な要素の濃い競走馬というイメージです。
中長距離での持久戦で、持続力を発揮して押し切る、もしくは差し届くというタイプになりそうです。
これでスピードのあるタイプだと、持続力を武器に安定したレースを見せてくれそうです。
No.6 フラミンゴフライトの23
フラミンゴフライトの23は父パドトロワ、母の父Flatterという配合の牝馬です。
所属は美浦の上原佑紀先生の厩舎です。
私は上原先生には、クリダーム、ゴールデンリープ、プロミストジーンでお世話になっています。上原先生もまた、上原先生を理由に出資したくなる先生で、インゼル所属馬ではクリダームを復活勝利に導いてくれた先生です。
父パドトロワは芝のスプリント重賞を3勝した快速馬です。代表産駒にJBCスプリントを勝ったダンシングプリンスがいます。
母フラミンゴフライトは中央ダートのスプリントで2勝をあげています。
パドトロワの産駒は勝利がスプリントに寄っており、芝、ダート兼用のスプリンタータイプです。
こうしたスプリンターのスピードを生かすためには、母系には中長距離の柔らかな要素を取り入れたほうがバランスはとれる印象があります。
短距離×短距離だと、筋肉の質が一層スプリンターになり、走りが硬くなるというか、距離適性がさらに短く、柔らかさに欠けていってしまう部分があり、あえて緩めるほうが成果が期待できます。
パドトロワ産駒の活躍馬は概ね母系に中長距離で活躍している競走馬の血が入っており、実際にその傾向にあります。
フラミンゴフライトの23の場合、母がBold Rulerの要素が強いタイプで、かつ父と母の間にSecretariatのクロスが発生するため、その要素が促進されます。
両親スプリンターではあるものの、Bold Ruler+Princequilloの柔らかな要素が入っており、それがどのように発揮されるかが注目ポイントでしょうか。
父パドトロワは22年にこの世を去っているため、本馬はラストクロップの世代です。ぜひ活躍してほしいですね。
No.7 プレミアステップスの23
プレミアステップスの23は父キズナ、母の父Footstepsinthesandの牝馬です。
生産は社台ファームで、所属は栗東の藤原先生の厩舎を予定しています。
母プレミアステップスということで、5億円馬ドーブネの半妹にあたります。
母プレミアステップスは欧州の芝マイル以下で活躍し、重賞勝ちこそないものの、2着1回、3着2回を記録しています。
この背後で目を引くのは、Storm Catの3×4とAlzaoの4×4です。
ディープインパクト×Storm Catは、Alzaoの持つNorthern DancerとSir Ivorが、Storm Catの持つNorthern DancerとSecretariat互いに刺激しあうことにポイントがあると考えられます。
牡馬は加齢とともに、その要素がキレから力強さに変化していく部分はあるものの、筋肉の質が柔らかな若駒の期間においては、鋭い末脚として発揮される部分です。
母の父FootstepsinthesandはBlushing Groomのクロスに加え、その祖父Nasrullahのクロスも持っています。さらに、Glorious Song経由でHaloの血も持っており、柔らかなキレとスピード、前向きな気性刺激されているイメージです。
母の母系にはAlzaoの血が入っており、母自身もキズナ的なニックスを持った競走馬だと表現できそうです。
この両親は父と母が似た要素を持っており、そのニックスを継続的に強化している印象を受けます。
かつ牝馬であることから、筋肉の質も柔らかく出そうで、厩舎も芝中距離のキレを引き出す藤原先生の厩舎です。
Storm Catのクロスを持つキズナ産駒はパワータイプというイメージがありますが、Alzaoのクロスもあって、父と母が似た要素を持つとすると、また違った部分が発現してくる可能性は十分にありそうです。
牝馬のマイルから中距離路線で期待したい1頭ではないでしょうか。
No.8 テディーズプロミスの23
テディーズプロミスの23は父サトノダイヤモンド、母の父Salt Lakeという配合の牡馬です。
厩舎は栗東の大久保先生を予定しています。私はオストファーレンでお世話になったことがあり、ビシバシ鍛えてくれるイメージです。
父サトノダイヤモンドはHaloの要素が強いディープインパクト産駒です。
アルゼンチン出身の母を持ち、現役時代は菊花賞、有馬記念を勝っており、長距離で成果を残していますが、きさらぎ賞というマイルのレンジでも重賞勝ちをしており、スピード能力も高いタイプでした。
サトノダイヤモンドはHaloの要素は十分に持っているため、ディープインパクトが成果を残した異なるベクトルのニックスを取り入れていくことがプラスに働くタイプです。
産駒は中長距離での活躍が中心で、Nijinskyなどの胴長な要素を取り入れるのもそうした観点でプラスです。
母テディーズプロミスはDeputy MinisterにCapote、Alyderと米国要素が強いタイプ。
実際、北米で11勝をあげ、3歳牝馬限定のスプリントG1も勝利したように、早熟さやスピード能力の高さを示しています。
母としても重賞馬マイラプソディを出しています。
父中長距離馬×母スプリンターという組み合わせで、長短のバランスが良いのが魅力です。また、Nijinskyの血を母が引いているため、それも魅力です。
2,000メートル前後で活躍するタイプになりそうなイメージで、ダートもこなしてくるのではないかと思います。
No.9 アーズローヴァーの23
アーズローヴァーの23は父リアルスティール、母の父キンシャサノキセキという配合の牝馬です。
厩舎は栗東の渡辺先生を予定しています。
母アーズローヴァーは中央で3勝をあげた競走馬で、芝スプリントで活躍しました。
父リアルスティールは芝、ダートで産駒が活躍し、改めて注目を集めています。
母系の要素を産駒に伝えるタイプで、米国的な血統を取り入れるとダート路線に、欧州的な血統を取り入れると芝路線に行くイメージです。
その中でも、Mr.ProspectorやBold Ruler、Nasrullahなどと好相性なイメージです。
アーズローヴァーの23はサンデーサイレンスのクロスを持ち、母系にはCaerleon、Caro、Bold Ruler、Rivermanを持ちます。
母系に入る要素は、ストライドを伸ばして大箱の直線で伸びるイメージです。
こうした柔らかな要素を持ちつつ、母自身はスプリンターというのも魅力です。
総合していくと、芝で走るタイプのリアルスティール産駒というイメージで、直線の長いコースで、持続的に脚を使い続けて走るタイプになるのではないかと思います。
No.10 スカイダイヤモンズの23
スカイダイヤモンズの23は父サートゥルナーリア、母の父First Dudeという配合の牝馬です。
厩舎は美浦の手塚先生の厩舎を予定しています。
母スカイダイヤモンズもインゼル定番の母ですね。
4年連続で産駒が募集されており、2年目に募集されたグランカンタンテが中央勝ち上がりを決めています。
厩舎は、友道先生、鹿戸先生、国枝先生、手塚先生と毎年異なります。
それは父が異なるというのも理由の1つだと考えられ、ハーツクライ、リアルスティール、アドマイヤマーズときて、本馬の父はサートゥルナーリアです。
母スカイダイヤモンズは北米で10勝、うち重賞を3勝した競走馬で、その能力はすばらしいものを持っています。
Best in Showの牝系で、同牝系からはアーモンドアイが出ています。
スカイダイヤモンズの23は母系にA.P.IndyとStorm Catの血を持ち、Secretariatのクロスを持っています。
父サートゥルナーリアもStorm Catの血を持っていますから、両親の間でSecretariatのクロスが発生。
やや乱暴な表現ですが、ロードカナロア×サンデーサイレンス×Nureyev×Best in Showの牝系はアーモンドアイとも共通します。
サートゥルナーリアはNorthern Dancerの血が濃いタイプであり、それに対して母の父First DudeはNorthern Dancerの血を持たない米国血統であることも魅力で、そこが血の抜け道となる形におさまっています。
成功例が存在している配合であり、かつバランスも良さそうな印象ですから、おもしろい1頭だと思います。
毎年募集される母の仔から、大きな成果を残す馬が出てくれると、クラブとしても勢いがますでしょうし、活躍に期待したいですね。
No.12 マスターワークの23
マスターワークの23は父シスキン、母の父ダイワメジャーという牝馬です。
厩舎は美浦の蛯名正義先生です。現役時代、すごく好きなジョッキーでしたから、いつか蛯名先生の厩舎の馬に出資したいと思っています。SNSでも情報発信されていて、一口馬主としての楽しみの幅を広げてくださる方ですね。
インゼルだと武豊ジョッキーとの同級生コンビでの重賞勝利などを期待できるのも魅力です。
父シスキンは2024年に産駒がデビューしたばかりの新種牡馬です。しかしその第一世代は故障もあって種付けができず、中央登録は7頭となりました。
その7頭のうち、9月22日までにデビューしたのは4頭、うち2頭が勝ち上がるなど、日本への適性を示しています。
日本競馬でニックスとして重宝される血を多数持っているのがシスキンの大きな魅力で、種付け頭数が復活した23年産以降はさらなる飛躍が期待できます。
母マスターワークは中央2勝、芝の中距離で活躍しました。近親にメートルダールやパラレルヴィジョンがいる血統です。
祖母イグジビットワンは欧州G3を2勝した重賞馬という成果を残しています。
母マスターワークはダイワメジャー×Sadler’s Wellsのニックスを持ち、そこにRobertoとSharpen Upの血を持ちますから、先行して持続力を生かして勝負する要素を強く持っています。
この両親の配合だと、ダイワメジャー×Danzig×Sadler’s Wellsのニックスが発生します。レシステンシアやアスコリピチェーノがこのニックスを持っており、父ダイワメジャーの産駒ではないものの、これを持つことはプラスだと考えます。
母マスターワークが重厚なパワーとスタミナの要素を持つことを踏まえると、シスキンの持つ柔らかく軽いスピード要素との組み合わせはバランスが取れていると思います。
牝馬のマイル路線で期待したい1頭で、活躍がとても楽しみな1頭です。
No.13 ユイフィーユの23
ユイフィーユの23は父レイデオロ、母の父ディープインパクトという配合の牝馬で、厩舎は栗東の武先生の厩舎を予定しています。
生産は三嶋牧場で、母の産駒は4年連続でインゼルで募集されています。
母ユイフィーユは1,800mを中心に走り、15戦1勝、うち9回掲示板に入るなど、勝ちきれないながらも大崩れしない走りを見せました。
ユイフィーユはSchwarzgoldから連なるドイツS牝系出身で、世界的に大成功しています。
日本においても、スターズオンアース・ソウルスターリングの牝系、シュネルマイスターやサリオスの牝系、ブエナビスタやマンハッタンカフェの牝系など、様々な系統が大きな成果を残しています。
ユイフィーユの産駒には初年度から3年連続で申し込み、昨年本馬の全兄にあたるプリンスドールに出資することができました。
そのため、満足していると言ったらおかしな話ですが、私がこの馬に申し込むことはありません。
私は全兄に出資していますが、改めて魅力的な配合だと思います。
ウインドインハーヘアのクロスを持ち、スタミナ的な要素を底上げしつつ、デインヒルの力強い後躯で力強さも底上げされているイメージで、阪神競馬場のタフなマイル戦でも期待ができそうな配合イメージです。
ウインドインハーヘアのクロスを持ち、デインヒルの血を引く産駒だとアドマイヤテラがおり、菊花賞への出走を予定しています。
この2つの要素を持つことはプラスだと考えられます。
レイデオロ産駒は中長距離で活躍するタイプが多く、スタミナと馬力を生かすと良い傾向にあります。
となると、小柄な馬や牝馬だと身体を生かすのに力強さが不足してしまう心配が生じます。
ユイフィーユの23は牝馬でウインドインハーヘアのクロスを持つものの、馬格もそれなりにあるタイプ。
今後成長し、馬格がさらに大きくなってくれば、力強さとスタミナを兼ね備えたタフな牝馬として活躍するところが見られそうです。
全兄のプリンスドールとともに、レイデオロの成功パターンとして語られる馬になってくれることを期待しています。
No.14 スマートオランプの23
スマートオランプの23は父リオンディーズ、母の父キングズベストという配合の牡馬です。
生産は桑田牧場で、厩舎は岡田先生を予定しています。
父リオンディーズの代表産駒で天皇賞春を制したテーオーロイヤルを管理されているのは岡田先生であり、相性に注目したいところです。
かく言う私も、父リオンディーズで岡田生成の厩舎ということに魅力を感じ、昨年はリュウレイ、デプロマトウショウの22に申し込み、出資しています。
リオンディーズと好相性な血と言えば、マンハッタンカフェです。代表産駒のテーオーロイヤル、ディオ共に母の父はマンハッタンカフェです。
マンハッタンカフェはリーディングサイアーも獲得したことのある、優れた種牡馬であり、その能力の高さは疑いようがありません。
そのうえで、マンハッタンカフェの要素をもう少し分解して考えると、サンデーサイレンスの血を取り入れつつ、Northern Dancerの血を薄めることが効果的、とも表現ができます。
父リオンディーズはNorthern Dancerの血が濃い競走馬で、その血の抜け道を母が持つことが重要だと考えられます。
マンハッタンカフェはサンデーサイレンスの血を持ちつつ、Northern Dancerの血を待たないため、ぴったりな存在です。
本馬はKingmamboのクロスを持ち、ダンシングブレーヴを母系に持つため、Northern Dancerの血はそれなりに入ってきます。
名牝Allegrettaとサマンサトウショウがドイツと日本の異系血脈的に存在感を示しており、そこが抜け道でありアクセントであるようなイメージでしょうか。
シーザリオ、Allegretta、サマンサトウショウと名牝の血をいくつも引いているのは魅力で、ここにKingmamboの濃いクロスまであるとなると、種牡馬となったら強烈な存在感を示しそうですね。
個人的には、最初から全速力で駆け抜け、直線は全馬がバテるような北米ダート的な競馬の展開の中で、後方から根性を見せて突き抜けるような競馬を見せてくれるような、そんな期待を描く馬です。
No.15 シンデレラの23
シンデレラの23は父ドレフォン、母の父ハーツクライという配合の牡馬です。
母シンデレラは未勝利ながら、3代母には「裸足のシンデレラ」の異名を持つオークス馬イソノルーブルを持ちます。
SNSでの情報によると、秋山先生の厩舎を予定されているそうですが、まだ公開はされていません。
生産は杵臼牧場です。私の出資馬クリダームは杵臼牧場の生産馬で、勝手にご縁を感じています。
父ドレフォンは芝での活躍馬も輩出していますが、メインはダートという種牡馬です。
ドレフォン産駒に芝での活躍馬は、母の父はディープインパクトやハーツクライ、スペシャルウィークなどサンデーサイレンス系の中長距離馬が入り、かつ母系で芝で大きな実績を残した馬がいるパターンが多いです。
シンデレラの23はまさにそういうタイプで、ハーツクライ×イソノルーブルは芝の中距離的な要素を持ち、芝での活躍も期待できると思います。
また、ドレフォン産駒にダートでの活躍を期待したい場合、好相性なのはDeputy Ministerです。
父ドレフォンが母の父にGhostzapperを持ち、これがDeputy Minister系の種牡馬。このクロスが発生すると北米の前向きな気性が発揮されるイメージです。
シンデレラの23はドレフォン産駒が芝で成功するパターンの要素も、ダートで成功するパターンの要素も持っており、どちらに進んでも楽しみなタイプです。
適性を見極めながら、輝ける場を見つけ、活躍してほしい1頭です。
No.16 エルパンドールの23
エルパンドールの23は父ナダル、母の父ネオユニヴァースという配合の牝馬です。
生産は杵臼牧場、厩舎は栗東の四位先生を予定しています。私は四位先生のファンで、フォンメイリーやトーマスフレアでお世話になっていました。現在、四位先生の厩舎に所属している出資馬が不在で、また出資したいなと思っているところです。
母エルパンドールは中央1勝、地方3勝の合計4勝をあげた競走馬で、ダートスプリントで活躍しました。
インゼルで産駒が募集されるのは3年連続となりました。
ダートの名牝系で、近親に最優秀ダートホースを獲得したルヴァンスレーヴとチュウワウィザードがいます。
その影響は産駒に伝わり、エピファネイアを父に持つ半姉のエピファドールもダートで走っています。
父ナダルも米国ダートで活躍した種牡馬で、私はナダル産駒のプロミストジーンに出資しています。
ナダルは名牝の血を多数引いており、その良さを引き出すことが産駒の活躍につながると私は考えています。
それを踏まえた時、Seeking the Gold≒Woodmanを持ち、Robertoのクロスも持つという点は、ナダルの方向性をそのまま継続的に強化しているイメージです。
また、母の父ネオユニヴァースを始め、ティンバーカントリーやノーザンテーストがHyperionの血をしっかりと引いており、先行して粘り切れる要素を十分に持っています。
ダートのコーナーを力強くこなし、直線で粘り切る競馬を期待することは十分にできますし、ダート路線でとても楽しみな1頭だと思います。
ナダルはRoberto系の種牡馬ですが、今のところ牝馬でも十分に走っていて、その辺りも心配はいらなさそうです。
馬格もありますし、2歳から活躍を期待したいですね。
No.17 マーガレットメドウの23
マーガレットメドウの23は父キズナ、母の父Distorted Humorという配合の牝馬です。
母マーガレットメドウは未出走でしょうか。実績を確認できませんでした。祖母Malubu Prayerは米G1馬で、重賞で何度も好走している実績馬です。
生産は千代田牧場で、古くはニッポーテイオー、近年はホエールキャプチャ、現役ではウシュバテソーロを生産した伝統と実績のある牧場です。
母の父Distorted Humorは北米で成果を残しているフォーティナイナー系種牡馬で、力強さとスピードの要素が強く、馬力とスピードが求められるダートスプリントに強い血統イメージです。
母系はA.P.IndyにGone Westと、Secretariatのクロスを持っており、Bold RulerとPrincequilloの影響を強く受けています。
ここに父キズナですから、Storm Catの血が入ります。Storm Catは母の父にSecretariatを持ちますから、このSecretariatの要素を強化していくイメージとなります。
Storm Cat×Distorted Humor×Nasrullah+Princequilloという配合で、大きな成果を残した競走馬にはフェブラリーステークスを制したモーニンがあげられます。
モーニンはコリアスプリントも制しており、ダートスプリントとマイルで成功しています。直線の長いコースで力を発揮しつつ、スプリントの馬力要素も持っているというのは、この血統の持つイメージと一致します。
マーガレットメドウの23の場合、父がキズナ、サンデーサイレンスの系統であり、牝馬でもありますから、芝のマイルに適性が出てきそうなイメージでしょうか。
サンデーサイレンスと牝馬の筋肉の質と、母系の持つ柔らかくストライドを伸ばしていく要素を受け継ぎつつ、力強さの要素も持っています。キレだけでなくパンとした要素も求められる牝馬の2、3歳マイル路線で期待できるタイプだと思います。
全兄クロパラントゥは未勝利を突破できなかったものの、地方で3勝し中央に戻ると、そのまま3連勝でオープン級に上がりました。
繁殖としても母は成果を残しており、性別の違いはありますが全兄が成果を残している点も含め、楽しみな1頭だと思います。
No.18 アンバーミニーの23
アンバーミニーの23は父ニューイヤーズデイ、母の父ダイワメジャーという牝馬です。
厩舎は栗東の小崎先生を予定しており、生産は社台ファームです。
母アンバーミニーは中央で8戦1勝、新馬勝ちを記録しています。芝のスプリントからマイルのレンジで走りました。
祖母ラブームは欧州のG3競走を2勝、重賞で好走経験が多数ある活躍馬です。牝系は欧州活躍馬が多数います。
父ニューイヤーズデイはMachiavellianの系統の種牡馬で、ダートに活躍馬が多いものの、ダート一辺倒というわけではない、というのが現状です。
牝馬において、ニューイヤーズデイ産駒で賞金を獲得している競走馬には、スミレファーストとクリノオリーブがいますが、いずれも母の父はダイワメジャーです。
ダイワメジャーの代表産駒アドマイヤマーズは、母系にMachiavellianの血を持っているように、その逆パターンでも成果がでているのではないか、と考えられます。
母アンバーミニーはSadler’s WellsとShirley Heightsの血を持っており、これはダイワメジャーのニックスとして知られる血です。母アンバーミニーはダイワメジャー産駒として好配合の要素を持っています。
そこに父ニューイヤーズデイもダイワメジャーと好相性の血を持っていることから、配合の全体としても良い形になっています。
全体で見ていくと、Machiavellian、ダイワメジャー、In the Wingsはアドマイヤマーズも持っており、父と母の父が逆パターンではありますが、実績のある配合パターンです。
牝馬のマイル路線での活躍を期待したいタイプであり、牝系からも芝のイメージで見ていきたいところです。
No.19 サンカルパⅡの23
サンカルパⅡの23は父アドマイヤマーズ、母の父True Causeという配合の牡馬です。
生産はノーザンファームで、所属は栗東の武幸四郎先生の厩舎を予定しています。
募集番号最後の1頭であり、募集価格は全体2番手となる9,600万円です。
募集価格9,600万円と高額なのは、セレクトセールで9,240万円で取り引きされたからです。
サンカルパⅡの23は父の2世代目の産駒で、当時の種付け料は250万円です。
母サンカルパⅡはアルゼンチンで活躍した競走馬で、G1を含む重賞3勝をあげています。
サンカルパⅡの23の上には、Saxon Warrior産駒のランメルスベルグがおり、2024年9月時点ではまだデビューしていません。
母は競走能力の高い実力馬ですが、繁殖としては未知数。それでもこの価格で取り引きされたのは、セレクトセール時点で実馬の出来が良かったからだと推測できます。
サンカルパⅡの23は名牝Glorious Songのクロスを持つことがまず魅力的です。アドマイヤマーズの持つHaloの要素を継続的に強化しつつ、スピード能力を高めているイメージです。
そこに加え、Storm Birdのクロスも発生しますから、ノーザンテースト、Nijinskyなどと組み合わさって、米国的な力強さや前向きな気性を産駒に伝えてくれそうです。
母サンカルパⅡはGone Westの全妹の血も持っており、それもまた面白い要素ですね。
近親に活躍馬が多数いるアルゼンチンの名牝系ですし、組み合わせて面白い血を多数持っていますから、こうした馬が種牡馬入りすると、先々さらに楽しみです。
先行して粘る競馬をしてくれそうなタイプで、父同様にマイルあたりではないかと思います。活躍が楽しみですね。
まとめ
最後に簡単にまとめです。
全頭見てきましたが、どの馬にもおもしろいポイントがあって、一層悩みます。
動画が公開されてから歩様などを確認しつつ、出資先を決めていきたいと思います。
本当にどの馬も魅力的で困ります。
引き続きよろしくお願いいたします。