種牡馬‐ドレフォンを考える
本記事では、種牡馬ドレフォンについて分析します。
ドレフォンは2018年より社台SSで供用開始となり、2021年に初年度産駒がデビューしました。
初年度から産駒が活躍し、ファーストシーズンサイアーチャンピオンを獲得。
ジオグリフが2022年の皐月賞を勝利するなど、初年度産駒からG1馬を輩出しました。
この年の皐月賞には、イクイノックスやドウデュースが出走しており、その中での皐月賞勝利は当時も大きなインパクトを与えました。
2023年産は、初年度産駒がデビューしてから種付けされた世代。
近年はダート路線もレースが充実し始めており、芝・ダート両方で活躍が期待できるドレフォンは、今後一層注目の種牡馬です。
2023年産募集(24年度募集)に向け、過去のドレフォン分析記事をリニューアルしました。
ドレフォンの種付け料・種付け頭数の推移
ドレフォンは導入当初の種付け料は300万円。
北米のダートスプリントで活躍した競走馬ですが、父Gio Pontiが芝で走った馬であり、実馬の様子からも芝のマイル適性もあるのではないかと期待されての導入でした。
当時、ディープインパクト×Storm Catが大きな成果を残していました。父にディープインパクトを持つ繁殖牝馬も数多くいて、そことの相性も期待されての導入でした。
- 2018年 300万円 207頭
- 2019年 300万円 204頭
- 初年度産駒が誕生
- 2020年 300万円 186頭
- 2021年 300万円 172頭
- 初年度産駒がデビュー
ジオグリフが札幌2歳Sを勝利
コンシリエーレがカトレアS(OP)勝ち
カワキタレブリーが重賞好走 - ファーストシーズンリーディングサイアー獲得
- 初年度産駒がデビュー
- 2022年 700万円 198頭
- 2024年度募集世代はこの世代
- ジオグリフが皐月賞を勝利
デシエルトがリステッド2勝
コンシリエーレがサウジダービー3着
カワキタレブリーがNHKマイルC3着
- 2023年 700万円 125頭
- 2024年 600万円
初年度産駒の活躍で地位を確立。
2倍以上の値上げをするも頭数が集まったのが23年産世代。
こうした評判もあって、初年度から200頭を超える繁殖を集めました。
そして、その初年度産駒が大きな成果を残したのが2021年。種付け料も+400万と倍増以上の増え方をしました。
期待も高まり、多くの繁殖牝馬を集めたのが2022年で、その産駒が一口馬主クラブで募集されるのが2024年です。
ただ、2019年産以降はやや低調なことや、芝・ダートともに期待の種牡馬が多数導入されたおともあり、2023年は種付け頭数を落とすこととなりました。
ドレフォンは今後、ナダルやルヴァンスレーヴ、クリソベリルなどのダート種牡馬や、ブリックスアンドモルタル、モーリス、アドマイヤマーズなどと競っていくことになるのではないかと思います。
種牡馬分析 注意書き
本分析は私シオノゴハンが一口馬主として競走馬に出資しており、出資申込先を選ぶための分析を公開したものです。
そのため、種牡馬の活躍を保証するものではございません。
出資などの最終判断は、ご自身にて実施をお願いいたします。
ご了承くださいますようお願いいたします。
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ドレフォンの現役時代や背景
すでに産駒もデビューして長いため、ドレフォンの現役自体や背景については簡単にまとめようと思います。
ドレフォンの背景情報の整理
- ドレフォン 2013年産
- 父:Gio Ponti
- 芝1,600mから2,200mで活躍。
エクリプス賞 最優秀古馬牡馬(2009)・最優秀芝牡馬(2009,2010)
Tale of the Cat経由でYarnの血を引く
- 芝1,600mから2,200mで活躍。
- 母:Eltimaas
- 母の半兄にはBCジュベナイル勝ちのAction This Day
- 母の父:Ghostzapper
Ghostzapperはダートの1200mから2000mで活躍
- 生産:米国
- 父:Gio Ponti
ドレフォンは米国産で、スプリント路線で活躍しました。
父Gio Pontiは芝で走ったものの、エクリプス賞最優秀古馬牡馬を獲得した名馬。
母の父Ghostzapperはダートで大きな成果を残した名馬で、日本においてはクロフネでなじみのあるDeputy Ministerの系統。
父・母の父ともに活躍した距離のレンジが広いこともあるのが特徴です。
ドレフォンの競走成績
ドレフォンは通算9戦6勝。勝てなかった3つのうち1つは落馬、競争中止となったビングクロスビーSです。
デビュー戦と引退レースに負けているものの、キャリアのほとんどで圧勝での勝利を決めています。
ドレフォンはスタートからのダッシュが鋭い北米のダート競馬、それもスプリントにおいて、ハナをとれる加速力とスピードを持っていました。
同時に、あくまで印象ですが、力まずにそれを実現できています。余力を持ってハナをとり、直線を向いてさらに伸びていく競馬ができています。
このレースぶりが評価されて日本に導入されたのだと考えられます。
後に日本に導入されるマインドユアビスケッツとも対戦経験がありますが、そこにも勝利しています。
ドレフォンは素晴らしい加速力とスピード能力を持ちつつ、一本調子でない競馬ができる北米ダートスプリンターという稀有な存在だと表現できます。
ドレフォンの血統分析
- Gio Pontiの柔らかなスピード+Ghostzapperの駆動力
- Sharpen UpとForliのスタミナ要素
ドレフォンの父はGio Pontiで、芝の芝1,600mから2,200mで活躍しました。
オールウェザーで開催されたBCカップクラシックでもゼニヤッタの2着に入る実績を残しています。
Gio PontiはStorm Cat≒Narrateの1×2という強烈なニアリークロスを持つTale of the Catと、それを緩和する傍系の血を多く持つChipeta Springsの間に生まれています。
Mr.ProspectorとAlydarは血統構成は近いものの、Storm CatとNarrate的な要素を刺激していないのもポイントです。
Bold Ruler+Princequilloの要素が豊富で、それを動かす力強さも取り入れているイメージです。
ドレフォンの母の父はGhostzapperで、1,200mから2,000mのダートで活躍しました。
牝馬や母系に入って力を発揮するDeputy Ministerの系統で、Justifyの母の父でもあります。
北米の伝統的な力強さを持つ血を重ねており、駆動力は十分というイメージです。
芝の中距離で活躍した父Gio Pontiの柔らかさとスピードを、母の父Ghostzapperで引き締め、動かすというイメージです。
ドレフォンがリラックスした様子で、ストライドを伸ばしながらじわっとハナをとり、最後もうひと伸びする競馬のイメージはこの配合イメージと一致します。
ドレフォンはJustifyと血統要素が近いものがあります。
父系がStorm Catで、Yarnの血を引いていること。母の父がGhostzapperであることなどが類似点です。
Justifyにあって、ドレフォンがない要素を付け足すことも、注目したい要素ですね。
特に注目したい要素はYarnとその母Narrateの血です。
逆にJustifyになくてドレフォンにあるのが、母系のスタミナ要素です。
Sharpen UpとForliの血を引いており、ここは直線での粘り強さなどにつながってくる要素です。
この要素は産駒においても生きてくる部分でしょう。
種牡馬ドレフォンのポイント
基本的にはダート種牡馬だが、母の能力を引き出すタイプで芝にも対応できる。
米国的な主張の強い種牡馬というより、繁殖牝馬の持つ要素を引き出しつつ、ダートメインながらも芝の上級条件で走れる馬を出せることはドレフォンの大きな魅力です。
ただし、ドレフォン産駒の勝鞍は2024年3月時点で約8割がダートであげたものです。
ジオグリフやカワキタレブリーが芝のG1で成果を残しているものの、基本的にはダートでの活躍が期待できるタイプの種牡馬です。
前述の通り、米国的なスピードとパワーで走るタイプのダート種牡馬というわけではなく、柔らかさも兼ね備えたタイプであるため、牡馬に限らず牝馬でもダートで勝つことができ、距離も持つ点も特徴です。
肌に入って良いタイプの種牡馬でしょうし、その母馬優先のあるクラブで出資する際には、牝馬での活躍も期待できる点はポイントです。
こうした要素を踏まえ、ドレフォン産駒への出資は以下がポイントになると考えられます。
キングカメハメハの系統やMr.Prospector・Specialと好相性
ドレフォンは父系にMr.Prospector、母系にForliの血を持ちます。
これらの血に対して、存在感を発揮するのがキングカメハメハです。
キングカメハメハの血が入ることで、Nashua≒Nantallaの力強さを発揮する要素と、Forliのクロスが発生し、直線並んで抜かせない勝負強さ的スタミナを強化することができるイメージです。
これらの要素はダートに入って効果を発揮しますが、芝に出たとしても、小回りや坂のあるコースでも効果を発揮します。
キングカメハメハやMr.Prospector・Specialの血の要素を持つドレフォン産駒の主たる活躍馬には、ジオグリフとタイセイドレフォンがいます。
ジオグリフは洋芝の札幌2歳S、内回りの皐月賞を勝利し、中山記念でも3着に入っています。
タイセイドレフォンはダートで活躍し、4コーナーのダートOPを勝利しています。
キングカメハメハの血を持つ繁殖牝馬は多数いますし、見つけやすい好相性の組み合わせとして注目したい血です。
芝ダート兼用のニックスであることもポイントで、この要素を押さえているだけで、勝ち上がりの期待値は高まるでしょう。
サンデーサイレンスと好相性。
ディープインパクト・ハーツクライ・スペシャルウィークは芝でも期待
NHKマイルカップ3着のカワキタレブリーは母の父にディープインパクト、リステッド勝ちのサーマルウインドは母の父はスペシャルウィークです。2024年のフェアリーSを2着に入り、桜花賞に挑戦予定のマスクオールウィンは母の父ハーツクライという組み合わせです。
ドレフォンは柔らかな要素を持った北米のダートスプリンター。
芝中距離のサンデー後継を父に持つ繁殖に対して、引き締めつつも硬くなりすぎないことが魅力です。
上記3頭とは異なりますが、ジオグリフもサンデーサイレンスの血を引きますし、芝での成果においてサンデーサイレンスは魅力に映ります。
その中でもディープインパクト、ハーツクライ、スペシャルウィークは競走馬としても種牡馬としても中長距離で活躍する産駒を多数輩出する、日本の芝適性の高い競走馬です。
スペシャルウィークはマルゼンスキーの血を引くためわかりやすいのですが、マルゼンスキーやCaerleonなどのストライドを伸ばすNijinskyの要素が入ると、より芝適性が高まるイメージです。ハーツクライのトニービンも類似のイメージですね。
ジオグリフの母アロマティコは芝のOP馬。サーマルウインドは母未出走も、ウインドインハーヘアの牝系。マスクオールウィンは祖母が仏重賞馬です。
牝系に芝で活躍している馬がいる要素も、芝路線での活躍を期待するうえで重要な要素で、母や祖母の実績は注目したい要素です。
フジキセキ・クロフネ・Unbridledはダートで期待できる。
日本のダートで活躍するニックスとして、Mr.Prospector・Roberto・Specialの血を持つパターンが1つの定番です。
そしてもう1つがフジキセキ×Deputy Ministerの組み合わせで、この組み合わせにおいても、北米のマンノウォー系を刺激するスピードとパワーの要素を引き出すことができます。
ドレフォンは父Storm Cat系で母の父にGhostzapper(Deputy Ministerの系統)を持ち、フジキセキ×Deputy Ministerで行っている北米の力強さの引き出しを実現しています。
この引き出し方を継続することで、ドレフォンの魅力と母系の魅力の両方を引き出すことができ、ダートでの活躍期待値を高めることができるイメージです。
ポイントとなるのはLe FabuleuxやIn Realityで、ここに注目していれば、必ずしもフジキセキ・クロフネ・Unbridledに限りません。
連戦連勝で注目を集めたサンライズフレイムはフジキセキの血を引いています。(加えてMr.Prospector・Roberto)
芝・ダートのスプリント戦を勝ちオープンで活躍するカルネアサーダはUnbridledの血を引き、リステッド勝ちのコンシリエーレはSpanish Steps(Unbridled’s Songの全弟)とIn Realityの血を引きます。
ダートの上級条件で活躍する馬に期待する場合、この要素に注目したいところです。
今後期待の配合パターン
芝での活躍を期待したい場合、母父や母母父にディープインパクト・ハーツクライ・スペシャルウィークを持ち、同時にNijinskyも入ると良いでしょう。
キングカメハメハの系統も注目です。頭数がかなり少ないものの、トニービンの入るルーラーシップも好相性の可能性があります。
今後出てくる可能性があるドゥラメンテは特に注目で、キングカメハメハ・サンデーサイレンス・トニービンを持ち、さらにドゥラメンテと相性の良いSharpen Upの血をドレフォンが持つことから、ニックスとして機能する可能性が高いと考えられます。
配合面だけでなく、実績にも注目したく、母や近親に芝活躍馬がいるかどうかも確認したいポイントです。
ダートでの活躍を期待したい場合においても、キングカメハメハは好相性でしょう。
フジキセキ・クロフネ・Unbridledの血には注目で、母自身がフジキセキ×クロフネのニックスをすでにもっている場合、さらに底上げが期待でき、楽しみな配合となるでしょう。
Mr.Prospector・Specialとも好相性ですし、Robertoが入っても良いでしょう。
ドレフォンはダート活躍馬を多数輩出しており、上級条件での活躍をさらに期待する場合、このあたりに注目すると期待値をあげられると考えます。
出資馬フォンメイリー
ノルマンディーOCで出資しているフォンメイリーは2019年産で、ドレフォンの初年度産駒です。
スペシャルウィークを母の父に持ち、芝での活躍を期待したものの、この馬の場合はダートに活路がありました。
フォンメイリーはノーザンファームで生産された最後のチャイナドールの仔で、10頭いるきょうだいのなかで、唯一中央で1勝をあげた競走馬です。
母チャイナドールは4勝をあげた競走馬ですし、配合的にも魅力的な馬でしたが、繁殖としては大きな成果を残すことはできませんでした。
それでも、ドレフォンは母の力を引き出し、中央勝利を達成しています。
この経験からも、私はドレフォンを信頼しています。
フォンメイリーには何とかあと1つ、2つと勝利してもらい、岡田スタッドでその血をつないでほしいと願っています。
ドレフォンは肌に入って良いでしょうし、繁殖として期待しています。
まとめ
改めてポイントの整理です。
2024年度に募集される世代においては、芝での活躍期待値が高いと考えられます。
初年度で大きな成果を残したジオグリフ・デシエルトの全きょうだい、クロノロジスト、ブエナビスタ、ジェンティルドンナ、マリアライト、ヴィヴロスといった繁殖の名前がずらりと並んでいます。
活躍の可能性が高いでしょうし、募集に回ってきた場合はぜひともねらってみたいところです。
今回も最後まで読んでくださり、どうもありがとうございました。