シルクHC 2022年度募集 ロードカナロア産駒の分析
シルクHCの2022年度募集の募集馬分析を行います。シルクホースクラブに加入したのが2018年、今年が出資4世代目となります。人気のあるクラブですので、なかなかこれだ!と思う馬がいても出資できるとは限らないのが難しいところです。そのため、複数の良いと思う馬を見つけ出して、その中から可能性がある馬を見つけるのが大事だと考えています。個人の出資検討分析ではありますが、読んでくださる方のお役に立てますと幸いです。
なお、本分析は募集馬の活躍を保証するものではございません。出資などの最終のご判断はご自身にて実施をお願いいたします。
また、馬券的な分析をするものではなく、一口馬主として出資をするうえでの分析ですので、馬券を検討する際の情報としては有効なものではありません。ご了承くださいますようお願いいたします。
本日はロードカナロア産駒の分析を実施したいと思います。

今年度の出資方針については以下の記事をご参照ください。

種牡馬ロードカナロアについて

ロードカナロア「父:キングカメハメハ 母:レディブラッサム」
- 種付け料
- 2020年当時種付け料:2,000万円
- 2022年現在種付け料:1,500万円
- 種付け頭数及び血統登録数
- 2021年産血統登録数:120頭
- 2020年産世代は7世代目
- 2021年産血統登録数:120頭
- ロードカナロア全体のデータ
- 勝ち馬率:42.9% (346/806)
- 平均本賞金:1,979万円
- シルクHC所属の活躍馬
- アーモンドアイ 15年産 (母:フサイチパンドラ)
- ダイアトニック 15年産 (母:トゥーハーモニー)
- ブランノワール 16年産 (母:プチノワール)
- ビオグラフィー 17年産 (母:チアズメッセージ)
ロードカナロアは2020年、21年と2年連続で種牡馬リーディング2位に入る活躍を見せている、キングカメハメハの後継種牡馬です。現役時代は最強のスプリンターとして日本だけでなく海外でも活躍を見せた名馬です。
ロードカナロアは母レディブロッサムがSecretariatとSyrian Seaは全きょうだいクロスを4×3で持っており、Bold Ruler+Princequilloの柔らかなストライドとスピードを持った種牡馬です。サンデーサイレンスの血を持っていないながらも、こうした日本の芝適性を高める柔らかな速さを持っていたことが、競走馬としても、種牡馬としても成功できた要因だと考えられます。
キングカメハメハが様々な主流の血を持っていることで、母系の持つ主張の強い血に良く反応し、母系の魅力を引き出す傾向があります。ロードカナロアも同様で、流行血統の血を多く持っていますから、その血が濃くなればその要素を引き出すと考えられ、距離適性や馬場適性も含めて、とても柔軟な種牡馬です。
今回シルクホースクラブで募集されたロードカナロア産駒は5頭おり、1口価格は4,500万円から6,000万円です。重賞活躍、重賞勝利級の活躍を見せてほしい水準です。
これらを踏まえて、5頭の分析を実施します。
募集No.1 リアオリヴィア
- リアオリヴィアの21
- 父:ロードカナロア
- 母:リアオリヴィア
- 母父:ディープインパクト
- 性別:牡馬
- 生年月日:2021年1月19日
- 母5歳時の産駒
- 所属予定:美浦 奥村武厩舎
- 生産:ノーザンファーム
- 募集総額:5,000万円
- 一口価格:100,000円

母リアオリヴィアはシルクで募集され、未勝利引退となっています。その全妹のリアアメリアはローズS、アルテミスSを勝利するなど重賞2勝。オークスでも4着に好走しています。祖母リアアントニアは北米2歳牝馬の最高峰レース、BCジュベナイルフィリーズを制しています。
ロードカナロア×ディープインパクトからは小倉2歳Sや京王杯2歳Sを勝利したファンタジストが出ています。ディープインパクト肌の繁殖牝馬は競走能力に秀でている馬が多く、そこに競走能力の高いロードカナロアとの組み合わせですから、高い成果を残して不思議はありません。また、ディープインパクトはキングカメハメハとStorm Catと好相性でしたし、その観点から見ても、好相性となる可能性が高いと言えます。
ディープインパクト×Storm Catはサンデーサイレンスの持つ柔らかなスピードを増強することで成果が出ました。この辺りは以下の記事で解説をしているので、もしよかったらご参照ください。

ロードカナロア×ディープインパクトで考えると、ロードカナロアの柔らかさをより強化し、芝適性を高めてくれるイメージとなります。それだけに、母の母のラインに引き締める要素がないと緩さ不安となります。本馬の場合、そこにUnbridled’s Songですから、一層柔らかなスピードを増強する印象があります。引き締める要素は薄いと思います。
健康優良児で、調教で鍛えて緩さを解消できるタイプであればいいのですが、1月生まれで406kgは鍛えきれるか不安なところです。歩き姿も故障が不安になる感じですね。
良血を重ねてきた血統馬ですから、活躍する可能性はあると思いますが、私はリスクを感じるので、狙うのは控えたいと思います。
募集No.2 クードラパンの21
- クードラパンの21
- 父:ロードカナロア
- 母:クードラパン
- 母父:ダイワメジャー
- 性別:牝馬
- 生年月日:2021年2月8日
- 母8歳時の産駒
- 所属予定:美浦 武井亮厩舎
- 生産:社台コーポレーション白老ファーム
- 募集総額:4,500万円
- 一口価格:90,000円

母クードラパンはシルクで募集され、4勝をあげています。降級制度のあった時代ですので、2勝クラスを2度勝利して、準オープンまで進んでいます。クードラパンの半兄には、京成杯オータムHを勝利したグランシルクがいます。クードラパンの2021の半兄のラパンラビット(父ルーラーシップ)も同じく武井厩舎所属で、7月24日に新馬勝ちを収めています。父ルーラーシップですから、3/4同血ですね。その点からも期待はできそうです。
母クードラパンは芝の1200mから1600mで活躍した快速馬。その父はダイワメジャーで、頑強なタイプのサンデーサイレンス後継種牡馬です。ダイワメジャーの持つノーザンテーストは、ロードカナロアの持つStorm Birdと近い要素を持つ血で、ここがかみ合うと、北米的な力強さを引き出してくれて、引き締め要素としては魅力的です。そこにBold Ruler要素を持ちつつ、筋肉量豊富なフレンチデピュティの血も入りますから、芝のマイル以下で求められる要素はかなりまとまっている印象があります。
現時点で小柄なので、ここからの成長に期待というところですが、歩き姿も立ち姿もすごくきれいに見えました。楽しみな1頭です。
募集No.3 プチノワールの21
- プチノワールの21
- 父:ロードカナロア
- 母:プチノワール
- 母父:Singspiel
- 性別:牝馬
- 生年月日:2021年4月24日
- 母16歳時の産駒
- 所属予定:美浦 鹿戸雄一厩舎
- 生産:ノーザンファーム
- 募集総額:5,000万円
- 一口価格:100,000円
- 生年月日:2021年4月24日

母プチノワールは不出走引退。しかし産駒からは阪神JFを勝利したローブティサージュが出ています。ローブティサージュはノーザンファーム提携初年度の募集馬で、そこから先のシルクの躍進を支えた象徴的な競走馬ですね。ローブティサージュもすでに母としてオープン馬を出しています。
それもそのはず、プチノワールはMuch Too Riskyの牝系です。Much Too Riskyの牝系からは国内外にG1馬が多数出ており、その中でも最も有名なのは、ホワイトウォーターアフェアの仔で、ドバイワールドカップを制したヴィクトワールピサでしょう。ヴィクトワールピサの半兄アサクサデンエンも安田記念を制したG1馬です。なお、ホワイトウォーターアフェアとRich Affairは全姉妹で、アサクサデンエンとプチノワールの父はSingspielですから、血の構成は共通となります。
プチノワールの2021は魅力的な牝系出身であり、そこにすばらしい父をつけた産駒であると言えます。
プチノワールの2021はサンデーサイレンスを持ちませんが、Haloの血をGlorious SongとMachiavellianから引いており、日本の軽い芝への適性はそこで底上げされていると考えられます。そのうえで、Nureyev≒Sadler’s Wellsの5×4を持っており、引き締め要素も十分です。距離的にはマイルあたりまでこなしてくれるのではないかと思います。
4月生まれでまだ400kgに満たない馬格で、そこは心配要素です。リズムよく首を使えていて、スイッチが入るとぐんぐん進んでいきそうな感じはあります。馬体が成長してくれば、かなり楽しみな1頭ではないでしょうか。
募集No.44 ウィクトーリアの21
- ウィクトーリアの21
- 父:ロードカナロア
- 母:ウィクトーリア
- 母父:ヴィクトワールピサ
- 性別:牝馬
- 生年月日:2021年1月9日
- 母5歳時の産駒
- 所属予定:栗東 中内田充正厩舎
- 生産:ノーザンファーム
- 募集総額:6,000万円
- 一口価格:120,000円
- 生年月日:2021年1月9日

母ウィクトーリアはシルクで募集され、フローラSを勝利、ローズS3着、オークス4着の実績を残しています。素晴らしい末脚を発揮する馬で、毎度びっくりさせられていたのを懐かしく思います。故障引退がとても残念でした。ウィクトーリアの半兄には札幌2歳Sを勝ったブライトエンブレム、リステッド含むオープン競走を3勝、重賞2着2回のアストラエンブレムがいます。祖母ブラックエンブレムは秋華賞馬で、そこ由来の競走能力が子どもたちに受け継がれていますね。ウィクトーリアの2021は、初仔です。
ロードカナロア×ネオユニヴァースからはアイビスサマーダッシュを勝ったジョーカナチャンがいます。オープン馬も他に2頭出ていて、それなりに相性が良い組み合わせです。ヴィクトワールピサになってまた要素は変わってきますが、Halo的なスピード要素は一層強くなるイメージでしょうか。
ただ、この馬も緩めの要素が多く、引き締めの要素が少ないのが気になります。Mr.Prospectorのクロスも結構発生し、そこもこの配合においてはプラス要素は薄いのではないかと思います。
初仔ですが、現時点で十分な馬格があり、大きく見せるな、と思いました。この血統の馬ですから、故障と気性が心配です。チャカチャカした感じはなく、リズムよく歩けている感じがしますが、故障はやや心配な歩様です。
シルクらしい血統の馬ですから、楽しみな方もたくさんいるのではないかと思います。成功する要素もあって、初仔にして十分な馬格をしていますから、勝負をかけるのも良いと思います。
募集No.45 パーシーズベストの21
- パーシーズベストの21
- 父:ロードカナロア
- 母:パーシーズベスト
- 母父:ディープインパクト
- 性別:牝馬
- 生年月日:2021年1月31日
- 母8歳時の産駒
- 所属予定:栗東 安田隆行厩舎
- 生産:ノーザンファーム
- 募集総額:4,500万円
- 一口価格:90,000円
- 生年月日:2021年1月31日

母パーシーズベストはシルクで募集され、2勝をあげています。秋華賞にも出走しており、7着に入っています。フローラSを勝利、ローズS3着、オークス4着の実績を残しています。祖母パーシステントリーは北米でG1を1勝しています。4代母Heavenly PrizeはG1を8勝し、最優秀3歳牝馬を獲得した名牝で、その一族は海外でかなり活躍しています。日本ではまだ実績が出ていませんが、期待できる牝系だと思います。
パーシーズベストの産駒は当馬含め2頭おり、モーリス産駒の半兄はまだデビュー前です。
ロードカナロア×ディープインパクトは先ほども書いた通り、好相性となる可能性が高い組み合わせです。母パーシーズベストも2勝馬で、紫苑Sでは4着に入ってますから、競走能力はある繫殖牝馬です。この辺りは期待ができそうです。残りの母の母のゾーンは、Deputy Minister・Seeking the Gold・Nijinskyですから、北米的な力強さを補うことができていると思います。ロードカナロアやディープインパクトの持つNorthern Dancerの血を生かす、という方向性ではないので、直球に良いとは言いにくいは言いにくいのですが、補うという観点では成り立つのではないかと思います。
1月生まれながら、まだまだ成長しそうな馬体をしていますね。ここから筋肉がついてくるとかなり楽しみだと思います。キビキビと歩いているように見えます。若干故障は心配になる感じがしますが、大丈夫ではないかなと思います。
厩舎はロードカナロアを管理した安田隆行先生です。安田先生は2024年2月で定年退職見込みです。となると、阪神JFは大きな目標となってくると思います。退職後の行き先も心配ではあるものの、安田先生が手掛けたロードカナロア産駒で、大きなところを勝ってほしいと思います。この馬は、そういうものも背負った馬なのかな、と思います。
まとめ 良いと思った順
ロードカナロア産駒の分析でした。5頭を比較したとき、私は以下の順に良いなと思いました。
- クードラパンの2021
- プチノワールの2021
- パーシーズベストの2021
- ウィクトーリアの2021
- リアオリヴィアの2021
ご参考になりますと幸いです。

