牝馬-シーザリオの分析

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シーザリオを考える

 シーザリオについて分析したいと思います。
 シーザリオは2005年のオークス勝ち馬。その後、アメリカに遠征し、アメリカンオークスを勝利しています。帰国後、故障が発覚。06年から復帰の予定でしたが、故障を再発し、引退しました。

 競走馬としても極めて優れた馬でしたが、繁殖としてはさらに優れた成績を残しています。
 3頭のG1馬を輩出しており、うち2頭はすでに種牡馬として大きな成果を残しています。その2頭はエピファネイアとリオンディーズ。エピファネイアは種付け料が最高値となっており、皐月賞・天皇賞秋・有馬記念を制したエフフォーリアや、三冠牝馬のデアリングタクトを輩出しています。リオンディーズは種付け料100万円で種牡馬入りし、初年度産駒から3頭の重賞馬を輩出。2世代目からも重賞馬を輩出し、その能力の高さを示しました。
 そして、もう1頭のG1馬はサートゥルナーリア。ロードカナロアの後継種牡馬として大きな注目を集めています。産駒は2024年デビュー予定で、集めている繁殖の質からも、その成功は疑いようのない馬です。

 また、シーザリオの産駒に4頭の牝馬がおり、その1頭であるロザリンドからは重賞馬オーソリティが出ています。この4頭がどれほどの牝馬を産むかはもちろん未知数ですが、牝系としても今後大きく拡大する可能性はあるでしょう。

 種牡馬の母としても、牝系の祖としても、今後影響度が増していくことが間違いないのがシーザリオです。ここで改めてシーザリオについて考え直したいと思います。
 ご覧くださいますと幸いです。

本分析は私シオノゴハンの主観による要素が多分に含まれます。読者の皆様にとって望まない表現や異なる解釈が生じる可能性はございますが、ご了承ください。また、出資などにおいて成果を保証するものではありませんので、判断はご自身にて実施ください。

参考図書

監修:栗山 求, 監修:望田 潤, 編集:競馬道OnLine 編集部
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シーザリオの戦績

 シーザリオは2002年生まれの牝馬です。生産はノーザンファーム、馬主はキャロットファームです。同期にはディープインパクトヴァーミリアンカネヒキリがいます。

 シーザリオは通算で6戦して5勝。G1を2勝、2着1回を達成しています。同世代の桜花賞馬はラインクラフト、秋華賞馬はエアメサイアです。桜花賞で3着、その後のNHKマイルで2着に入ったデアリングハート、ディアデラノビアも同期です。
 ラインクラフトは産駒を残すことができませんでしたが、エアメサイアからはエアスピネルなどの重賞馬が出ていますし、デアリングハートの孫はデアリングタクトです。デアリングタクトはシーザリオとデアリングハートを祖母に持つという、印象的な配合の馬ですね。ディアデラノビアも2頭の重賞馬を輩出。
 牡馬も牝馬も、後世に大きな影響を残した偉大な世代でした。私が初めて競馬を見たのは、この世代のクラシックからで、逃げは負けるもの、末脚一気で勝つもの、という誤った認識を長く植え付けられましたね。当時はまだ子どもだったのもありますが、ディープインパクトとゲームの影響とはすごいものです。

 シーザリオが勝ったアメリカンオークスはいわゆる優駿牝馬ではないのですが、当時米国が力を入れて運営していた国際G1競走であり、とても価値のある勝利であることに間違いありません。

 シーザリオの戦績として特筆すべきは、小回りでも大箱でも成果を残していることでしょうか。フラワーカップは小回り4コーナー戦ですし、アメリカンオークスの会場となったサンタアニタパーク競馬場は1週1,400mですから、小倉や函館競馬場のダートコースよりも小回りとなります。
 大箱の桜花賞、オークスも進路確保してからの加速力は素晴らしいものがあり、最後まで伸び続けるようなパフォーマンスを見せています。優れた加速力があるため、小回りでも成果を残していますが、その伸び方は長い直線向きな印象を与え、本質的には大箱向きで、能力の高さで小回りでも成果を残すことができたのではないかと考えます。

シーザリオの血統について

シーザリオ

 シーザリオは父スペシャルウィーク、母キロフプリミエール、母の父Sadler’s Wellsという配合です。父と母の配合について確認し、そのうえでシーザリオの配合について考えていこうと思います。

父スペシャルウィークについて

 父スペシャルウィーク17戦10勝(うちG1を4勝を含む重賞9勝)です。ウマ娘1期の主人公として最近改めて人気を集めています。種牡馬としてのスペシャルウィークはJPN1を含むG1馬を5頭輩出しており、種牡馬としても成功を収めています。BMSとして、エピファネイア・クラリティスカイ・リオンディーズ・ディアドラ・サートゥルナーリア・ジュンライトボルトといった6頭のG1馬を輩出しており、存在感を示しています。父系が途絶えてしまうのではないか、と心配されていますが、後継種牡馬のリーチザクラウンより、UAEダービーを制したクラウンプライドが出ており、父系としても続く可能性が出ています。

 スペシャルウィークはサンデーサイレンス×マルゼンスキーという配合。サンデーサイレンスとNijinskyは好相性で、ダンスパートナー・ダンスインザダーク・ダンスインザムードの3きょうだいもサンデーサイレンス×Nijinskyの組み合わせです。Nijinskyは胴長の体系を産駒に伝えるとされ、ストライドが伸びて大箱向きの走りをするようになります。
 マルゼンスキーはそこにBuckpasser(とLa Troienne)を引くのでストライドを動かす駆動力を得て、同時にPrincequilloも引くため、Nijinskyの胴長さをより確かなものにしているイメージです。

 加えて、AureoleよりHyperionの血を引いています。Aureoleの父Hyperionは小柄ながらボス的な馬で気性も荒々しかったとされています。それが並んで抜かせない気持ちのスタミナ要素の源泉となっていると考えられ、大舞台での強さにつながっています。Hyperion産駒の中でもAureoleは極めて気性が悪かったいう逸話があり、古馬になるまで実力をまともに発揮できないほどの気難しさだったそうです。その影響力は大きく、Aureoleの血を引く馬は、その血が奥にいっても気性的に難しい馬が多く、気持ちよく逃げて抜かせない、もしくは大外から一気に突き抜ける競馬を得意とする傾向があります。

 スペシャルウィークはこれらの要素から大箱向きのストライドとスピードを持ちます。宝塚記念や有馬記念でスペシャルウィークがグラスワンダーに勝てなかったのは、脚質が大箱向きだったから、と考えられます。

母キロフプリミエールについて

 母キロフプリミエールは北米芝2,200mのG3競走、ラトガースHを制した競走馬です。4代母Piaがイギリスオークスを制しています。

キロフプリミエール

 父Sadler’s Wellsは1992年から2005年まで愛国(英国)種牡馬リーディング1位を獲得しています。仏国では3度リーディングを獲得しています。英国は前粘りのタフな競馬、仏国は直線の末脚スタミナ勝負の競馬と大枠で分類でき、この傾向からもSadler’s Wellsがキレというよりは粘りタイプの種牡馬であることがわかります。日本の競馬においては仏国の血の方が好相性で、近年においても仏国出身の繁殖牝馬が日本に来てはG1を制しています。ソウルスターリングはその好例でしょう。Sadler’s Wellsが父系においては日本で大きな成果を残せなかったのはこうした競馬の方向性的な要素が大きいと考えられます。
 ただし、母の父や、3代、4代と離れていったとき、緩さを引き締めつつ大勝負に強いスタミナを産駒に伝えており、血として日本競馬においても欠かせない存在となっています。

 母の父HabitatはSir Gaylordの後継種牡馬として、大きな成果を残した馬です。Sir Gaylordの後継種牡馬として、日本においてはディープインパクトに入っているSir Ivorの方が有名ですが、Habitatも種牡馬として大きな成功をしています。いずれも共通するのは、鋭い末脚を持ってたそうで、これはSir Gaylord譲りの能力でしょう。Habitatは欧州マイルチャンピオンでスピードに富んだ競走馬でした。産駒もマイル以下で活躍する傾向で、欧州においてそのスピードを広く伝えました。Habitatの産駒ではスティールハートが日本に輸入され、当時最強の短距離馬となるニホンピロウイナーを輩出します。ニホンピロウイナーからはヤマニンゼファーが出ています。ヤマニンゼファーは安田記念を連覇、天皇賞秋を勝ち、スプリンターズSをサクラバクシンオーの2着に入る柔軟性を見せています。

 Habitatは母の父として23頭のG1馬を輩出しています。Sadler’s Wellsとも好相性で、Sadler’s Wells×HabitatからはBaratheaやKing of Kingsが出ており、すばらしい成果を残しています。このほかにもMill ReefやMtotoというスタミナに富んだ父との相性が良く、父のスタミナ×Habitatの柔らかなスピードで活躍する馬を多数出していることが推測できます。ある種、馬力に寄りすぎる父系を、Habitatが緩めることでスピードを確保していたとも表現することができ、ともすれば緩さにもなってしまう柔らかさをHabitatは持っていたと考えられます。ヤマニンゼファーは3代父にHabitatを持ちますが、距離適性の広さやそのスピードはHabitat由来と考えられます。一方で、スプリントではサクラバクシンオーのような頑健なタイプに敗れていますね。

 馬力に寄りすぎる欧州の父系を緩める中でも、緩くなりすぎず欧州のタフな馬場をこなせたのは、Habitatの持つ血がSadler’s WellsやMill Reefの持つBold ReasonとNever Bendの兄弟と好相性だったからでしょう。父系のTurn-to・Royal Charger≒Nasrullahの増強による柔らかなスピードの維持と、母系の北米的なパワーの増強を両立できたのが、硬軟に加えてのニックス成立の要素だと考えられます。

両親を踏まえたシーザリオ

 改めてシーザリオの血統表を表示します。

シーザリオ

 シーザリオは全体的にはTurn-toとPrincequillo、Hyperionの継続的な強化が見られます。
 スペシャルウィークが胴長の体系で、大箱向きのストライドを産駒に伝え、キロフプリミエールはSadler’s Wells由来のスタミナとHabitatの瞬発力とスピードを持ちます。
 これらによって、大箱でじわっと加速し続けるだけでなく、小回りでも瞬間加速でのキレを見せることができたのだと推測します。AureoleとSpecialからHyperionの血も引いていて、勝負強さも兼ね備えられたのが良かったのだと考えられます。半面、Aureole的な繊細な気性を受け継いでおり、それはその仔にも受け継がれています。

 シーザリオは芝の大箱向きのスピードと柔らかさを産駒に伝えることができ、同時にSadler’s Wellsという大種牡馬の血を引くことで勝負強さの要素を引き出すことがしやすいことが魅力だと考えられます。

まとめ 種牡馬入りした3頭の仔

 前述の通り、シーザリオの仔には3頭のG1馬がおり、いずれも種牡馬入りしています。

 エピファネイアはKris.S≒Habitatによる柔らかなスピードを増強したタイプ。Habitatを増強したことで、東京の長い直線と直線平坦の京都で成果を残しました。柔らかくなりすぎなかったのは、父系がRobertoで、Sadler’s Wellsの血も持っているからでしょう。
 リオンディーズはNureyev≒Sadler’s Wellsによる引き締めが発生し、2戦目でタフなマイルの朝日杯を勝利。NasrullahとHyperionを継続的に強化しているのもポイントです。
 サートゥルナーリアはロードカナロアのスピードにシーザリオの距離適性を上乗せして中距離で活躍。Storm Catとマルゼンスキーも好相性で、キングカメハメハ以上の好相性だったと考えられます。

 注目すべきは、エピファネイアはキングカメハメハとStorm Catと好相性を示していることです。エピファネイアが活用していないシーザリオと好相性の血は、エピファネイアと掛け合わせても好相性になるということが示されています。リオンディーズ、サートゥルナーリアもシンボリクリスエスを母の父に持つ繁殖牝馬との間に大きな成果を残す可能性があると考えられますね。

 これら3頭の種牡馬の記事は、改めてまとめていき、募集検討に活用していこうと思っています。ぜひそちらもご覧くださいますと幸いです。
 最後まで読んでいただきありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。

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この記事を書いた人

HN:シオノゴハン
趣味:競馬と雑学調べ
一口馬主:
シルクホースレーシング 2019年~
ノルマンディーオーナーズクラブ 2020年~
インゼルサラブレッドクラブ 2021年~
POG:不愉快な仲間たち

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