種牡馬‐ロードカナロアを考える
今回はロードカナロアについて考えていこうと思います。
ロードカナロアは20年種牡馬リーディング第2位で、ディープインパクト・キングカメハメハ・ハーツクライの孫世代種牡馬争いで一抜けた存在となっています。歴史的名馬アーモンドアイの父であり、すでにG1馬を2017年に産駒がデビューしたばかりですが、すでにG1馬を多数出しています。
種付け料も21年現在日本最高額で、募集馬の価格もなかなか手を出しにくい金額です。今年のシルクの最高額もロードカナロア産駒でした。
出資するからには外したくないのがロードカナロア産駒です。牡馬3頭、牝馬3頭の合計6頭の募集馬として公開されています。
この記事はこんな人にオススメ
- 一口馬主を始めようか悩んでいる人
- 一口馬主を始めることは決めたけれど、どのクラブにしようか悩んでいる人
- すでに一口馬主を始めていて、同じ馬や同じクラブで出資している人
- シルクホースクラブの20年産駒募集で出資を検討している人
並みのサラリーマンの一口馬主ライフってこんな感じか、と思ってもらえたらと思います。
ロードカナロアの現役時代と産駒傾向
ロードカナロアもすでに産駒がデビューしているため、現役時代はコンパクトに説明します。
ロードカナロアは2008年生まれです。ロードホースクラブから募集され、総額2,625万円、1口5.25万円で出資可能でした。獲得総賞金は6億5,000万円ですので、とんでもないリターンがあったと思われます。
2010年デビュー、2013年に5歳で香港スプリントを連破して引退しています。3年間で19戦走る健康優良児でした。戦績もすばらしく、13勝・2着5回・3着1回と馬券内を外したことは1度もありませんでした。(1番人気を逃したのも19戦中1度きり) G1ではスプリンターSを2勝、香港スプリントを2勝、高松宮記念と安田記念を1勝しています。香港スプリントは日本馬が制したことのないレースでしたが、ロードカナロアが初制覇し、産駒のダノンスマッシュも制したことで父子制覇も達成しています。
短距離馬としてはかなり折り合いがつくタイプで、中団でじっくりと脚をためて、直線で差し切るという競馬で勝ち切ってきました。この気性があるため、産駒は中距離をこなす馬が出ていると考えられます。
産駒は芝・ダートともにこなしますが、芝のほうが適性が高く、距離も短いところのほうで使われる傾向があります。一方で、中距離成績もよく、中距離に挑戦できる馬は成果を残しているという印象です。(つまり、適性が配合や馬体から見極めやすい種牡馬といえます) 香港適正が高いように、洋芝であったり、稍重の馬場であったり、そうした環境を得意としています。ロードカナロアの魅力は、洋芝や稍重が得意なだけで、良馬場や中央場も十分な勝率を誇っている点と、人気通りの成果を出すところです。良さがわかりやすく、苦手が少ないというのは、出資する馬としては大きな魅力になります。
サンデーサイレンスの血を引いていないこともあり、母父にはサンデーサイレンス系の種牡馬が好相性です。加えて、日本の高速芝適性の高いクロフネ・フレンチデピュティ親子とも好相性です。
ロードカナロアの血統表
ロードカナロアの血統表は以下の通りです。

ロードカナロアはNorthen Dancerの血をNureyev・Last Tycoon・Storm Catを通して受け継いでいます。NureyevとLast Tycoonは欧州的なNorthen Dancerで、Storm Catは米国的なNorthen Dancerで、Northen Dancerの血を通してそれぞれの母系が持つ魅力を発揮しているのではないかと思います。
Nureyev、Last Tycoon、Storm Catを結ぶのはNasrullahです。Nureyevは祖母Thongから、Last Tycoonは母父Mill Reefから、Storm Catも母父SecretariatからNasrullahの血を引きます。Mr.ProspectorもNasrullahの血を引くため、Northen DancerとNasrullahという世界中に枝葉を広げた名血を様々なアプローチで取り込んでいるのがロードカナロアです。Nasrullahの柔らかく大きなストライドと、Northen Dancerの駆動力があって、直線で伸びて差し切る競馬を短距離で実現できたのだと考えられます。この柔らかさがあるからこそ、中距離をこなす産駒が出ているのだも考えられます。
ロードカナロアの短距離馬としてのスピードの根拠は、KingmamboとSecretariat、In Realityにあると考えられます。KingmamboはマイルG1を多数制していますし、母Miesqueもマイルで圧倒的な成績を残しています。その血がプラスに働いていると考えられます。In RealityはMan o’War系種牡馬で、米国的なパワーと突進力を産駒に伝えます。この米国的な要素はスピードもそうですが、最初から一生懸命に走る要素でもあるため、産駒の適正距離を短くする要素も含みます。
Secretariatについては、ロードカナロアの母レディブラッサムの4代血統表で確認することができます。

Secretariatとレディブラッサムの4代母のSyrian Seaは全きょうだいです。そのため、レディブラッサムはSecretariat≒Syrian Seaの4×3というクロスを持つことになります。両馬の父Bold RulerはNasrullah系の中で米国で最も成功した種牡馬で、現在もその血を拡大しています。Bold Rulerは軽いスピードを産駒に伝える傾向があり、アメリカのダートや日本の雨が降った時のダートで高い適性を見せます。日本の軽い芝にもこの要素はプラスだと考えられます。ロードカナロアが現役時代に差し切り勝ちや圧勝はあれども、抜け出して粘り勝ちする印象が薄いのもまた、Secretariatの影響なのではないかと考えられます。
Secretariat・Syrian Seaの母Somethingroyalは名種牡馬Sir Gaylordの母でもあり、ディープインパクトはSir Ivorを通してSir Gaylord・Somethingroyalの血を引きます。Storm Catの血がディープインパクトと好相性なのはその要素もあり、それでいくとロードカナロアは母父ディープインパクトとの配合ではそのニックスを刺激する可能性が高いといえます。
どのような配合の産駒が走ると考えられるか
ロードカナロアの場合、柔らかくなりすぎないことがポイントではないかと考えられます。Secretariat・Syrian Seaの持つBold Rulerや、Somethingroyalの要素は、スピードを伝えつつも坂をこなせなくなってしまったり、粘り勝ちすることが難しくなってしまったりする弱点もあると考えられます。極力そこを刺激せずに、強さを補強していくと良いのではないかと考えられます。
また、ロードカナロアは名血の塊ですので、スタミナを伝える血も多数あります。母系にそれを刺激する血を持つ馬をあてれば、中距離をこなすことは十分に可能です。
短距離で活躍した馬ですが、やや重や香港を得意としていたように、純粋に日本芝適性だけで言うと極まってはいないと考えられます。日本芝適性を高めるうえで、サンデーサイレンスの血を入れるのはかなり有効だと考えられます。
実際、ロードカナロア産駒で活躍している産駒はサンデーサイレンスの血とNureyevやSadler’s Wellsの血を持ち、Storm Catの要素を持っていない傾向があります。
すでに成果が出ている状態で、とても当たり前のことをまとめてしまいましたが、減点要素に気づくことがポイントだと思いますので、改めて整理しておきます。なお、ディープインパクトを母父に持つと、Somethingroyalの血が刺激され、柔らかくなるため、Sadler’s WellsやNureyevの血がとても重要だと考えられます。Sadler’s Wells + Never Bendの血があると理想的ではないでしょうか。母父ディープインパクトの成功のポイントはここにあるのではないかと考えます。
まとめ
シルクからは牡馬3頭、牝馬3頭の合計6頭が募集されます。明日からは、今日の分析を踏まえて、この6頭の分析記事を書いていこうとおもいます。ぜひご覧ください。
引き続きよろしくお願いいたします。