種牡馬‐モーリスを考える
連日新種牡馬について検討してきましたが、今日はすでに産駒がデビューしているモーリスについて検討していこうと思います。
これまでの記事については以下のリンクよりご覧いただけますと幸いです。
今期のシルクホースクラブの募集には、モーリス産駒が7頭います。牡馬4頭、牝馬3頭という内訳です。初年度産駒から重賞馬も出ており、種付け料も上昇しています。今後、一口馬主を続けるうえで、いつか大物を引きたいと思っている種牡馬です。
この記事はこんな人にオススメ
- 一口馬主を始めようか悩んでいる人
- 一口馬主を始めることは決めたけれど、どのクラブにしようか悩んでいる人
- すでに一口馬主を始めていて、同じ馬や同じクラブで出資している人
- シルクホースクラブの20年産駒募集で出資を検討している人
並みのサラリーマンの一口馬主ライフってこんな感じか、と思ってもらえたらと思います。
モーリスの現役時代と産駒傾向
モーリスはすでに産駒がデビューしていることから、現役時代はコンパクトにします。
モーリスは4歳になってから本格化し、2015年は無敗の6連勝。1000万条件から一気に国内外のG1を制するまでになりました。安田記念→マイルCS→香港M→チャンピオンズマイルとマイルG1を2015年~16年にかけて4連勝しています。
その後に安田記念・札幌記念を2着に敗れますが、天皇賞秋・香港カップの2000mG1を連勝して引退しました。道中は中団から前目に位置し、押し切り勝ちをするタイプの馬でした。
産駒は6月からデビューした馬も多数いましたが、本質的には晩成という印象で、当初はなかなか勝ち馬を出せませんでした。それでも初年度産駒が3歳を迎えた2021年の6月現在では重賞馬を3頭出しています。
どちらかというとダートのほうが勝率・連体率ともに高い(勝率→芝:ダ=11:14)のですが、ダートもこなせるだけであって、本質的には芝向きの馬で、大物も芝から出るのではないでしょうか。32秒~33秒台前半の上りを使える馬はごくまれで、キレ勝負で分が悪いのもこの成績の要因だと考えられます。
コースでは中山競馬場を極端に苦手にしています。私の出資馬だったベルエポックも中山ダートで使われましたが、掲示板がやっとでした。モーリス産駒は父同様に雄大な馬格であることが多く、またトモが緩い傾向があることから、中山の小回りをさばいて最後の登りで差し切るというのが難しいのかもしれません。
母父カーネギーの持つ Sadler’s Wells と Riverman
モーリス産駒を活躍させるうえで、どの血を活性化させるか、がポイントだと思います。私はカーネギーではないかと考えています。
カーネギーは、父Sadler’s Wells、母父Rivermanという血統で、現役時代は凱旋門賞を制しています。このブログでも何度か書いていますが、Sadler’s WellsとNever Bendは好相性で、RivermanはNever Bendの産駒です。
Sadler’s WellsとNever Bendの好相性の根拠となるのは、Lalunの牝馬クロスにあります。



Sadler’s Wellsの母父Bold ReasonとRivermanの父Never BendがLalunの子どもに当たります。LalunはDamascusなどを出したTeddyの血を強く引き、パワーを伝える印象です。それに加えて、名牝のLa Troienneの血も引き、これもパワーを伝えます。Sadler’s WellsとNever Bendを持つと、Lalunのクロスが発生し、タフな馬場でも活躍できるパワーを産駒に伝えます。Sadler’s WellsもNever Bendも欧州で活躍した種牡馬なので、そこからもタフな馬場で活躍できることがわかります。
この魅力的な血を活用したほうが活躍する馬を出せるのではないか、と私は思います。この血を活用するとなると、考えられる種牡馬はMill ReefとNureyevです。


Mill ReefはNever Bendの産駒なので、Lalunのクロスを発生させます。また、NasrullahとPrincequilloの血を引くのも魅力的です。
Nureyevの場合、Sadler’s Wellsの祖母、Nureyevの母であるSpecialのクロスが発生することが魅力です。この組み合わせによる活躍馬はミッキーアイル・リアルスティール・リオンディーズ・サートゥルナーリアなどがいます。SpecialはHyperion系の父ForliとNasrullah系の母父Nantallahを持ちます。ここでスタミナとキレを補強しています。
実際に重賞を勝っているルークズネスト、シゲルピンクルビーはMill ReefとSpecialの血を引いています。※SpecialとしたのはシゲルピンクルビーはNureyevではなくSadler’s Wellsでその血を引いているため
ただ、Mill ReefやNureyevを用いてカーネギーの血を活性化していくと、どうしてもスピード不足に陥る印象があります。それを補う場合、Haloを刺激する、もしくは母を短距離~マイルで活躍した馬にする、ということが考えられます。
21年6月末時点での収得賞金上位5頭は以下の通りです。
- ルークズネスト(母父ディープインパクト Halo, Danzig, Mill Reef持ち)
- シゲルピンクルビー(母父High Chaparral Special, Mill Reef, Danzig持ち)
- ピクシーナイト(母父キングヘイロー Drone, Halo, Sir Ivor持ち →非サンデーでのHalo強化)
- アルビージャ(母父キングカメハメハ Nureyev, Halo持ち)
- ルペルカーリア(母父スペシャルウィーク Halo, Special持ち)
まとめ
上記の内容より、私はモーリス産駒に出資を検討する場合、以下の点を満たしているかをチェックしていきたいと思います。
- カーネギーの魅力を生かしているか(Lalun・Special)
- スピードを補う要素はあるか
- Danzigをどうとらえるか
3点目のDanzigについては、いきなり出てきましたが、ルークズネストとシゲルピンクルビーが持つので言及します。モーリスもグラスワンダーを通りしてDanzigの血を引くため、Danzigもクロスとなります。
Danzigを引くことで、成長が早まり、早期に仕上がってくる可能性は結構高いのではないかと思います。問題は将来的に伸び悩まないかどうかだと思います。現時点ではなんとも言えませんが、モーリスは晩成で古馬になってから強くなると思っているので、早期に仕上げなくとも良いのではないかと私は考えています。
今年のシルク募集馬では、グリューネワルトの2020、サルタートの2020がこれに該当しています。アバンチェリエはシゲルピンクルビーのいとこですが、Specialは持っていないですね。
個人的には母父キングカメハメハで、マイルで活躍した馬の子が回ってきたときがねらい目かなあと思っています。